2016年4月29日金曜日

実験生物学と言っても

 引っ越しが、実験室も居室も、それぞれあとひとつずつ「家具」が入れば、完全に定住最終形になるところまできました。
 間取りはあまり変わっていないのですが、内装がきれいになって、毎日仕事する気分が違う・・・。
 引っ越し続きの2年間は、「最後に幸せが待っているのだ!」とむやみやたらと自分に「言い聞かせていた」のですが、本当に終わってみたら、なんと、本当に幸せになった!!のが実は本当に驚きです(笑。

 さて。
 もともと、細胞生物学とでもいうべきテクニックを多く使って研究してきて、今でもそういうアプローチには愛着があります。
 特に、ある一つの因子=大概がタンパク質に着目して、そのタンパク質ともうひとつ別のタンパク質が相互作用することによって、シグナル伝達が起こる、とか、活性制御が起こる、なんていうMechanisticな話が好きだし、いちばんかっこいい!と思うのですが。

 こういう研究って、実は落とし穴に陥りやすい。
 まずは仮説を立てて、それを検証する、というスタイルだからかな、と思います。
 ポスドク時代、ある仮説をたてて、それを検証できそうでできず、できそうでできず・・・・というところにトラップされて、かなり長いこと苦しんだ覚えがあり。
 どうしても「メカニズムもの」が好きだったからそうなったのですが、この手の研究は、最初の仮説が間違っていたら、当然それを証明できない。最初からはっきり違うとわかればまだよいのですが、初期の段階で綺麗に仮説をサポートする結果が出て、それをさらに検証していくうちにわけのわからない結果が出て・・・というのが最悪。←経験ズミ

 これに対して、例えばゲノム生物学的な研究は、ゲノムを読んで配列を得たところでこの配列をつぶさに調べて、ありとあらゆる知見を書き出す、というものが多い。私は、この手の研究の経験が、実はありませんでした。

 で、ただいま、ウイルスゲノムについて、配列解析をしているところです。
 ありがたいのは、とにかく、新しいウイルスのゲノムなので、何かは言える。何を言うか、で、論文のインパクトは全く変わってしまうのはもちろんなのですが、特に、私が読んだウイルスは、ウイルスゲノムとしては大変大型で、持っている因子も大変多い。これを解析するのは大変なれど、でも、かならず何かはいえる、よね、というのは、昔の「細胞生物学の森で道に迷って迷子の気分」、というのを思い出すと、実は結構心強い、ような気もします。

 代わりに、当然ながら、類似のウイルスの配列を集めてきたり、集めてきた配列を加工したり、という作業が入ってきます。私が興味を持っている大型ウイルス、ウイルスですから、例えば細菌ゲノムなどに比べればまだまだ小さいのですが、それにしたって、textファイルで数メガのファイルって、生まれも育ちもWetな人間としては、結構呆然・・・。
 というところで、詰まっていたのですが、そうも言っていられない、ということで、覚えたばかりのPerlをおずおず使いつつ、論文と首っ引きで解析しています。気がつけば世間はGW前ですが、たぶん、どっぷりこれにはまっているうちに過ぎていくのだろうなあ・・。

 実は、引っ越しほぼ終了とともに、居室が恐ろしく快適になったのですが、そのメリットを最大限に生かすGWになりそうです。

 

2016年4月22日金曜日

安全対策

 先週の記事を公開したのちの、熊本の大地震。
 一週間経った今も、かなりの強さの余震が来ているとのこと。とにかく、早い収束と、住民の皆様の安全を心よりお祈りしております。

 その一方で、新しい実験室・居室の地震への備えをもう一度見なおしています。背の高い棚などを、有効な方法を選んで固定してもらう、また、収納の仕方についても、高いところに重いものや、落ちたら割れるものは置かない、化学薬品の保管庫は、破壊されにくそうな場所に、など、とにかく出来ることから対策を練ろうと思います。

 そんな折に、他大から実験技術の習得に学生さんが来てくれて、一週間の予定で一緒に実験しています。楽しい体験で、今後もこういう機会がたくさん欲しいな、と思う一方、例えば、こういうビジター訪問中に何か危険なことが起こったら・・・。

 地震という自然災害もですが、実験をしている最中の人為的事故、というのだって起こり得ます。私自身、一度電子レンジで温めすぎた培地の瓶の蓋が吹っ飛び、沸騰点まで熱された培地一リットルを顔面にもろに浴びた、なんていう事故(というか、ドジ)を経験していますが、経験を積んでいたはずのポスドク時代にやってしまったこの事故、まだ生物学実験に慣れていない学生さんに起こってもおかしくない・・・。

 安全性、ということに関して、かなり疑心暗鬼なスタンスで実験室・居室環境を見回した一週間でした。

 多分、こういう気持ちでいる同業者、たくさんいらっしゃると思います。地震があった週末を終えて月曜日、出入りの業者さんに収納庫固定の相談をしたら、同じ相談を所内の別のメンバー数名から受けたとのことでした。

2016年4月15日金曜日

・・・そして定住!

 今週で居室の引っ越し終了、待ちに待った定住生活が始まりました!
 ノマドな生活は必ず終りを告げると、理屈では納得していたのですが、しかし、本当にこれ以上動かなくていいとなると・・・・実は、まだ信じられない(笑。
 考えてみれば、私自身がこちらに着任して、確か半年ぐらいで改築の話が出始め、あ、では、そのうち引っ越しが重なって、最終的にはどんな部屋割りになるのかわからないのね、というのが常に頭にあったのですね。
 研究室の配置やら整理整頓やら、居室の居心地やらも、『そのうち動くから』という展望のもとに、なんとなくないがしろにしてきたわけですが、今度こそ定住となると、今度はなんとしてでも心地よく住み着いてしまおう!という欲が出てしまいます。これまで我慢していた居室用のオフィス家具類を思い切っていくつか購入。居室引っ越しと同日にこれらも運び込まれ、てんやわんやでしたが、とりあえず、収納先がある程度確保できたところで、例の、「トヨタの片付け」導入開始。とにかく分類したいものの品目をメモ用紙に書き出してかたっぱしからHさんに印字してラベルを作ってもらいました。で、置き場所を決めたら、ラベルを引き出しにぺたり。
 分類・ラベル貼りを心がけていて、しかし、どうもうまく分類できないものとか、このパーツ、なんだったっけ・・・というものが結構出てきたのですが。これについては、居室と実験室に『分類不可能品類』という引き出しを一つづつ作ってみました。今後、「これ、捨てたらまずそうだけど、何に使うんだっけ??」というものが出た時には、ここに放り込むことにすれば、後になってどこに行ったかわからなくなったりしなさそうで、これは良いアイディアかも。

 実験室ふた部屋+居室にある引き出しや引き戸全てにラベルをはるとなると、実は結構な手間でしたが、待ち望んだ定住状態!と思えば、これは一気にやってしまおう、と勢いがつきます。やってみると、効果は絶大。どこに何があるか、一目瞭然にわかり、デッドスペースも減らせそう。

 勢いづいて、当面は使わないガラス器具だのなんだのを、わかりやすいように収納したり、棚に置く物品の場所を、使う頻度や働き心地を考えて決めたり、半日一生懸命働いたら、ずいぶん片付いて驚きです。

 居室向けに注文していたロッカーとキャビネットが、しばらく入荷しないとのことで、ダンボール箱とあと二週間程度は一緒に過ごすことになりそうですが、とりあえず、実験は十分始められるぐらいまで片付いた。今週末は、二つの小さなプロジェクトに必要なサンプルが届く予定。所内あげての引っ越しは、本当に大仕事でしたが、案外シームレスに次の仕事に雪崩れ込めそうです。

 いや〜、しかし、引っ越しの必要が本当に本当に当面ないなんて、未だにどうしても信じられないのですが・・・笑。

2016年4月8日金曜日

ラボ引っ越しほぼ完了

引っ越しなれってするものなんですね。

 と、今回、実感しました。 
 火曜日5日がラボ引っ越し本番。大物をすべて運ぶことに。

 とりあえず、手で運べるものは先に運んでしまおうと、先週金曜日は現ラボと最終落ち着き先を数往復。
 まだまだ色々細かいものが残っている・・・にもかかわらず、4日月曜日にはどうしてもはずせない出張を入れてしまい、4日夜遅くに横浜から帰着して、次の朝いちばんで引っ越しか・・・。

 覚悟をきめて出勤してみると、すでにHさんによって引き出しの中に残っていた小物類はほぼすべて新しい部屋に移った後。引っ越し屋さんが一気にはいって、大物小物を運び出し、12時前には、なんと、綺麗さっぱりすべてが新しいラボに移っておりました。
 短期集中で走り回り、疲れきったとはいえ、なんとなんと、水曜日から実験再開が可能に。
 出張中に、細かい仕事を終えておいてくれたHさんには、本当に感謝です。

 未だに、ノマド生活の間に倉庫に入っていた棚などが設置されていないため、ダンボール箱に入った消耗品などが整理でききれないのですが、来週の居室最終引っ越しまでにはこれらも片付く予定。やっとのことで、定住・・・なのですが、なんだか最後はアンチクライマックス。グループとしてのラボ最終引っ越しは、あっけなかった気がします。

 とはいえ、こういうグループ単位の引っ越しを総括している事務部は、最後まで気が抜けない、というお気持ちのようで。皆が荷物の一時避難場所としてつかっていた部屋は、ぎちぎちに荷物が入って何が何だかわからない状態だったのですが、引っ越し進行につれてどんどん荷物が出されていき、ある日、部屋の向こう側の窓から建物の向こう側の景色が見えたのを、会計関係の統括をしてくださっている方が「トンネルの向こうに光が見える、って感じ!!」と表現していらしたのを聞いて、そうですよね、いちばん大変だっただろうな・・・、としみじみ。
 荷物の避難場所は、実は所でいちばん大きい会議室なのですが、5月の定例会議はそこでできるはず、とうかがって、長かったノマド生活、本当に終わるんですね〜。

 来週の居室引っ越しに合わせて、購入したオフィス家具なども幾つか搬入の予定。
 再来週初めから、共同研究先から学生さんが見えるのですが、そのころには、最低限プラスαに落ち着いて仕事ができるようになっている見込みです。

2016年4月2日土曜日

さて、新年度

 これでブログ開始後4回目の新年度の始まりですが、毎年代わり映えのしないタイトルをつけてしまいます。

 エイプリルフールと言えば、科研費の発表日。
 今年は、外した.....orz。

 面白いものを書いたつもりだったので、反省が必要です。
 とはいえ、継続の予算をいただいているので、これらに頼って一年間、仕事ができるのはありがたい。継続の予算も、プロジェクト最終年度ですので、研究を進めながらまとめ上げる方向で頑張ります。

 他の用事で連絡をした方に、「予算外した!」と言ったら「雪辱狙って、共同研究考えましょう」と言っていただいたりして、もともと話があった2件とともに、予算落としたのがきっかけでもう2件、一緒に頑張ろう路線で連絡を取り合える方が増えちゃいました。
 転んでもただでは起きないゾ(笑。

 日本中、桜の季節ですが、ここ倉敷は、やっとの事で6分咲きぐらい。毎年、新年度の切り替わりに5〜6分咲き、入学式あたりが満開、というのが倉敷の桜暦だそうです。
 一気に春に突入、とともに、来週は、まずラボの引越し。
 すでに細々としたものは運び始めたのですが、来週火曜日に大物を運び入れてラボ引越しは完了のはず、その次の週に居室引越し。
 あわただしいけれど、そのあとの新ラボ・新居室での生活を考えると、十分やる気になりますね。
 
 来週は、出張2件、ラボ引越しと盛りだくさんのスタート週になります。