2016年2月26日金曜日

隔靴掻痒

 突然ですが、米国の家電製品って、イマイチです。
 トースターにしても、ポットにしても冷蔵庫にしても洗濯機にしても、大きくてパワーがあるのは良いとして、ちょっとしたところが使いにくい。
 掃除機なんか、すごいパワー。音もすごい。重さもすごい。ついで埃の匂いもふんだんにしちゃいます。

 というのを久しぶりに思い出しました。

 プランクトンの数を自動で数えるための粒子カウンター。
 もちろんFACSを持っていれば、これを使えばいいわけですが、ううむ、植物の研究所にはFACSはいらない・・・。というわけで、所にはそんなものはなし。
 自分で買うには、とほほ、予算がとても足りない。

 というわけで、いってみれば、FACSで粒子をカウントし、ついでサイズを測り・・・という部分の技術「だけ」を搭載した米国某社の機器をデモしてもらいました。
 システム全部で200万円。次の研究費が取れたら、という「たられば」デモではありますが、金額を考えると軽く清水気分です。

 というわけで、無理を言って2泊3日でお願いして使ってみたのですが。
 この機械、でかい。当然、重い。
 四角ばってかくかくした愛想のない作り。ディスプレイとか、すごく古めかしい感じ。

 いえ、いいんです。そういうのは。今時のラボ機器、妙にオシャレすぎだと常々思っていたので。それに、機械的な制御のものの方が、小洒落たマイコン制御などよりも修理も効きそうだし。

 とはいえ、計測には、たった600 µlしか必要じゃないのに、測定のためにリザーバーに入れるのには、10-mLぐらいないと不安、とか、すぐつまる、とか。
 この機器の特性を存分に生かすには、外付けのPCとソフトが必要なのですが、なぜか、これらが別々に値段が付いていて、両方合わせて42万円。微妙にはめられた気がするのは、私だけじゃないはず。

 いえ、いろいろ並べ立てましたが、多分お金が入れば、買うと思います。
 だって、世の中にこれしかでていないんですもの、こういう器械。
 でもでも、ほんと、日本のものづくりの技術を生かせば、こんなもの、お茶の子だと思うんですよね。もっと使い勝手の良いものが、もっと安く、もっと省スーペスで、できるはずだとおもうんです。

 ところで。
 米国を思い出させてくれたものもう一つ、デモについてきてくれた技術員さん。
 デモとセールスは違うと思うのです。セールストークは、とりあえず、買う気にさせるためのもの。でも、デモは、こちらがやりたいことを汲み取って、できるかできないかを考えて、無理なら別の機器を進める、とか。あるいは、今回、売れなくても、開発部に上げるための、消費者の希望を汲み取る場とする、とか。
 今回のデモの技術員さんは、その点、すみません、ザンネンでした。え?そんなことできたっけ??というようなことが「できる」と言われ、半信半疑、彼らが帰ってからマニュアルを調べて、ほら、やっぱりできないじゃん。機械の欠点、というか、避けるべき使い方とか、必要なメンテナンスとかを聞いても、つるつるつると愛想がいいけど、必要な情報が得られなかった。
 お二人も付いてきてくださったのですがね。
 米国のセールストークって、横顔で受け流すもので、聴く必要はないものだったのですが、久しぶりにそれを思い出しました。

 うん、今回は辛口ですね。
 どうしても必要な機能を搭載しているので、欲しいものではあるのですが。
 微妙にあちこちひっかかって、クヤシイ感じのデモでした。

2016年2月19日金曜日

ワークショップ開催

 今週は、所でワークショップが開かれました。
 
 微生物間相互作用の理解と言うテーマで7演題。まずは植物と細菌の関わりについてのお話をお二人の先生方から、その後、色々な微生物・・・土壌細菌・水田細菌叢・数理ネットワークモデリング・腸内細菌(ヒト・マウスと、なんとカメムシ!)について・・・若手研究者5名からお話を伺いました。

 そもそものプログラムは、こちら。

 じつは、このワークショップの世話人は私で、後半の若手研究者5人は、いつも研究会、というか、勉強会で集まる面々。
 森林の根圏と土壌中の真菌の間の共生関係を研究している方が唯一の植物関係者だったのですが、今回は、この方は欠席。代わりに、というわけではありませんが、いつもはこの研究所があまり縁のない非・植物についての話が多めなプログラムでした。
 私自身は、面白い話ばかりで、多くの方に聞いていただきたいと思ったのですが、一方で、そううまくいくかな?と多少心配もしていました。とはいえ、非・植物メンバーは、専門外の人たちに話す機会も多い方たちで、わかりやすく、面白く話してくださり、時間も結構超過したところを、聴衆も最後までつきあってくださりました。

 いやいや、よかった。
 何を隠そう、この手の「オーガナイズ」って、初めてなんです。
 スピーカーをお願いして周り、プログラムを組んで、この度は運良く所内公募+仲間内Fundingではありますが、予算を確保して、出張依頼などの手配、懇親会もやりたいし・・・と、こじんまりした会なのですが、結構考えることたくさん。
 こじんまり、な規模で、初めての経験を出来てラッキーでした。
 お会いするのもお話を伺うのも、楽しみな方ばかりで、準備も楽しみながら出来たのですが、ううむ、自分が出席する、ワークショップだの、国内の学会だの、はては国際学会だの、当然ながら世話してくださる方々がお出でだからこそ、こちらも出席できるわけで。
 いまさらながら、感謝の念が。こんどから、心して出よう(笑。

 ワークショップ終わっての懇親会は、スピーカーと、研究分野が近い方たちと一緒に、夜中の12時閉店時間まで話し込み、楽しい1日でした。
 一人去り、二人目帰り・・・とお見送りしたのち、残るお二人とランチをご一緒したのですが、ここでもランチタイム閉店までおしゃべりしていたところで、共同研究のネタが見つかり、早速DropBoxで情報共有開始。
 
 あっというまに、次の予算の申請の話にまでつながるという、嬉しいおまけがつきました。やっぱり、顔を合わせて気楽におしゃべりって大切です。そして、気楽におしゃべりできる研究仲間って、ほんとに大切。

 ワークショップは月曜日だったのですが、未だ嬉しい余韻に浸っています。

 
 
 

2016年2月13日土曜日

これは便利!

 懸命に時間を作ってはコマンドラインを使った解析の独習に努めているわけですが、それにしたってやっぱりGUIは有難い。
 同じことが時間をかからずにできるのであれば、GUIで済ませたいのは、私のあからさまな本音です。
 最近、数十キロ程度の配列の解析に取り組んでいたのですが、すっごく便利に使わせていただいているツール二つ,Genome MatcherArcWithColor.
 実は、わたしも所属させていただいているある研究会のメンバーのお一人が開発されたもの。Mac10.3以降対応のソフトで、Macユーザーでよかった、と思いました。

 多分、Perlを使える人であれば、簡単にスクリプトかけるのだろうけれど、そのスキルがないとどうしよう?と思うような操作って、たくさんあると思うのです。こういうこと、コンピュータが得意だよね?とわかりきっているわりには、便利に使えるソフトってあるのかな??と言う種類の作業が、普通にマウスでクリック、な使い方で、できる。痒いところに手がとどく、とは、このことです。

 そこまでよく出来ているものながら、あれ?昨日できたことが今日出来ない…と言う出来事発生。あんまりにも便利に使っていて、これがなくては先に進めない!状態になっていたことから、HPにあるバクリポートもお願いします、というお言葉と、知人であることに甘えて、メールで問い合わせたところ、ああ、すみません、やはり私の使い方が悪かったせいでした、という恥ずかしい一幕もありました。

 教えていただけて感謝、の反面、やっぱり、この手のスクリプト、何を書いているかはおぼろげにわかるぐらいにはなろう、と決心。多分、あれは、そこに想像がつく段階にまで行けば、作者さまを煩わせる必要はなかったのではないかと…。

 GenomeMatcherを便利に使わせていただいて、解析が終わったところで、とりあえず、綺麗な図にしたい、と思い、お絵描きソフトを探しました。配列上のORFを綺麗に書こうと思い、ある論文で見たCGViewというのををダウンロード・使ってみたのですが、あれ、これ、色はどうやったら変えられるのだろうか???

 なんて右往左往しているところで、やっとの事で思い出した、Genome Matcherのマニュアルの一部として紹介されていたArcWithColor.
 使ってみて、おお、使いやすさと自由度に感動し、バグリポートお礼の時に、とっても便利で使わせていただいております、ありがとうございます!とお便りしたら、なんと、お膝下の学生さんで、CGViewを使って修論を書いている人がいた、とのことで、ああ、もったいない、便利さをしらないのでしょうか。
 無断で自主的に宣伝させていただきました。HPがあるパッケージだし、問題ないですよね?

 

 

2016年2月6日土曜日

100周年記念関連事業

 ここしばらく、ごく普通に、研究あれこれに勤しむ日が続いておりましたが、今週は、100周年記念関連事業の一環として、研究所の正面玄関に設置された大原孫三郎氏のブロンズレリーフの除幕式がありました。

 
 除幕式、と言い条、実は設置されてから数日は覆いもなく普通に見れる状態になったので、正面玄関を使う所員は、皆、この作品をすでに目にしていたわけです。

 私たちがいつも目にすることの多い同氏の写真は、こちら。
 
 ブロンズ像を見た私たちの間での評判は、「なんか、違うよね??」。
だったのですが、除幕式に参加してくださったブロンズ像の作者、三木勝氏のお話によると、このブロンズ像のモデルになっているのは、大原氏が当研究所を設立した、34歳の時の写真なのだそうです。まさに「青雲の志を抱いた青年実業家」としての時代だったわけで、納得するとともに、その若さでの事業だったのか、と、新たに感銘を受けました。

 さらにその後、倉敷市内、研究所にほど近い向山という丘陵地の上にあった石碑が当研究所に移設されたということで、その紹介がありました。詳しくはこちら
 石碑が記念している小山楽山という方は、当研究所開所時に大原氏に招かれて、果樹の専門家として研究所の初代メンバーとなられた方で、日本の白桃の元となった品種を育成した大久保重五郎氏が師事した方だそうです。私は岡山に来て、初めて岡山の白桃を知ったのですが、あの芸術的な白桃という品種の源にこの研究所が関係していたとは、今回初めて知りました。もともとは、小山氏がフィールドとして作った果樹園(そして、小山氏は、この果樹園で亡くなられたとのこと)内に、氏の功績を讃えるために作られた石碑なのですが、時代の移り変わりとともに、果樹園も閉鎖され…。石碑へのアクセスが悪くなるとともに、小山氏の功績への感謝の念が風化してしまうことに心を痛められた方が、当所にこのことを知らせてくださったことが、結果的に、当所の記念行事の一環として石碑を移設させていただくことにつながったわけです。
 特に、100周年記念の際に、この研究所の歴史についてはずいぶん色々詳しくなったつもりでいたのですが、今回の行事では、新たに感銘を受けました。