2014年2月28日金曜日

逃げた二月

 はっと気が付いたら、なんと2月も最終日。
 一年の15%が終わったことになります。早い!

 先週書いたように、大学では物品購入に多少不便が感じられるシーズンです。新しい試薬や消耗品を買わなければならないような新しい実験をするのも、ちょっと身構える季節。たまたま、今は、さっさとまとめてしまおうとしている論文2報の仕上げにかかっているところで、ちょこちょこっと実験を足して文章を書いておしまい、というのは便利なタイミングだったかもしれません。

 ・・・・・とはいえ、このちょこちょこっと、というのが問題で。
 私については、「よし、これでこの仕事8割がた終わった」とおもってから、残りの2割を「つめる」のに果てしなく時間がかかります。
 自分が書いた文章を読み直し書き直し、図表をチェックし、文献を張り付ける。満足いくまで何度も何度も見返すのですが、そのたびに細かいことに気が付いて、いつまでたってもきりがない感じ。
 今までは、自分の上にボスがいた『雇われ』の身だったので、95%まで詰めたかな、とおもったら、ボスに投げてしまう、という手もあったのですが、めでたく独立の身となった今、そういう甘えは許されません。

 許されないんだぞ・・・・・・と思いながら、今回初めて100%まで自分で詰める立場で書き物をして感じたこと。
                      ・・・・・・・・・・・・・・・楽しいな。

 英文で言いたいことを正確に伝えられる文章を書く、というのは、散々米国に長居をしたのに、私にとってはいまだに苦手感のある作業です。後で、査読の際に入るツッコミも予想しながら穴がない(あるいは意識的に穴をあけたりして)文章を練り上げる、というのがはいると、もっと大変。今までは、途中までは楽しいかな、と思って書いていても、最後の20%に差し掛かると、途端に息が上がって来るのが私の常でした。

 なので、この楽しさは本当に意外。
 論文としては、大変シンプルな内容のものなので、そんなのんきなことを言っていられるのでしょうが、文章書きの名手=どんなに頑張って書いてもすべての行に直しを入れて文章をブラッシュアップしてくださるボスの下に長居をさせてもらったからこそ、『好きに論じる自由』を初めて満喫しています。
 これのためなら、確かに『研究者の生活環』の甲斐、ありますね。
 

2014年2月21日金曜日

年度末が近付いています

 今週は、出張3日間+シンポジウム半日と、あまり実験ができませんでした。

 千葉県に出張だったのですが、終了予定の水曜日に太平洋側広い範囲に雪の予報が出ており、すわ、足止めか?とひやりとしましたが、雪が降ることもなく無事に帰ってきました。
 さすがに3週連続大雪に降られたら困ってしまいますね。

 さて、年度末が近付いています。
 日本に帰ってきて驚いたことの一つが、この、『年度末』の重要さ。
 特に物品購入がかなり制限されてしまうため、前もってある程度の心づもりが必要です。
 当大学は、消耗品の納品は原則3月7日まで。1か月近く、『原則納品ができない』機関があるわけです。もちろん、どうしても困るものは多少大目に見てはいただけますが、逆に『備品』として大学に管理番号をもらうことになる10万円以上の物品は、今月末までに購入しなければなりません。

 米国の大学では、この年度切り替えのための不便というのは特になかったような気がします。
 不便というのがちょっとでもあると、すぐに建設的ボイコットに入る彼の国ならではのシームレスな年度変わり目だった・・・・・・のかもしれません。
 もう一つ、4月1日、つまり新年度第一日目には、科学研究費補助金の申請結果が発表されます。次の年度の明暗はここで別れるため、ドキドキです。発表がエイプリルフールというあたりがニクイ。
 
 
 いつもの2月よりも寒い日が続くのに、あと1ヶ月ちょっとで新年度なのかぁ、という感慨があるのですが、毎年のルーチン事項に加えて加えて、当研究所は、来年度は大規模な増改築を行うこととなりました。これも新年度に入ったらスタートします。

 現在は、この増改築部分にいる人たちの工事中の落ち着き先を決めるべく調整が進んでおりますが、実は私たちの居室と実験室は、すっぽりと増改築部分に入っているため、まさに大移動の必要が。
 ・・・・・とはいえ、開闢2年半の小さな研究室、引越しは一番楽。なはず。
 
 ・・・・・・・・・・・・・小さな研究室、というのは、つまり人手もたりないわけですが、ま、それはさておき(考えると面倒になることは、すべてさておく習慣です)。

 いったんはじめれば、落ち着きの悪い仮住まいがしばらく続きます。とはいえ、増改築が完了すれば、設備内装が一新する上に、床面積もぐんと広くなる!と考えてとわくわくしています。
 
 

2014年2月14日金曜日

大雪!

 2月7日から8日にかけて太平洋側は広い範囲で大雪でしたね。

 岡山も、そしてもちろん倉敷もふりました!
 土曜日だったので、朝寝坊しておきてみたら、うわぁ!!という感じ。
 以前は米国もニューヨーク州の南端に住んでおり、冬の間に30センチ以上は積もることが数度、に慣れ親しんではいたのですが、考えてみたら、倉敷にはそんな雪は降らない=雪への備えがない。
 当然ながら、道路に積もった雪はそのまま・・・・・・に軽く呆然としてしまいました。

 午後には晴れ間も見えたので、どちらにしてもしなければならない仕事をしに研究所にやってきたところ、窓からの景色はご覧のとおり。

久しぶりに(ほぼ)銀世界!
こういう時に、広い圃場っていいですね(笑)。

1週間たった今も、まだところどころ雪が残っていますが、なんと今週末も雪の予報が出ていますね・・・・・。

2014年2月7日金曜日

"書くこと" 雑考

 STAP細胞の論文発表に沸いた一週間でしたね。

 既に1週間たっていろいろな話が出きったところで、私などが付け加えることは何もないのですが、STAP細胞確立の方法の着想から論文発表までの道のりは、良質なドラマと凄い・素晴らしい人物が詰まった話だったなぁ、と思います。
 私が行きあたった中で特に興味を持った二つの記事、一つは新聞一つはブログ。ぜひぜひ読んでみてください。

 面白い、ということにくわえて、これらの二つの文章は、ともに『固い』『地味』と引き換えに、情報量が多いく、わかりやすい。ともに科学に関わる人々が語り手・著者なわけですが、よくいう『理系』人間として生きている人たちは、『文学的』ではないが、自分が見聞きした事象をわかりやすく言語化し、それを受け取り手に伝える訓練はされているんです。

 こういう、地味で歯ごたえが硬い文章を、この件ではもっと読みたかったなぁ…。今回は、仕事の中心となった研究者が若い女性だったことから、特に発表直後は小保方博士の人となりへの興味に偏った記事が多すぎました。

 多くの新聞で『小保方博士は・・・・誇らしげに30分にわたって発表した』とか、『枕を涙でぬらす夜も』・・・・などなどの表現が見られましたが、テレビでの録画を見る限り、誇らしげというよりは、非常に謙虚な方にお見受けしました。30分にわたって研究成果を発表したのならば、新聞は、その内容をしっかり書いてくれた方が面白いのになぁ。この研究発表30分には、好きな色も割烹着も入っていなかったでしょうし。
 『枕を涙で・・・・』も、世紀の大発見についての第一報である新聞で読む言葉でもない。1週間後に出た週刊誌ならばまだわかりますが。

 新聞から読者が得たいのは『確かな情報』。情緒的色付けは、受け取った情報に基づいて当方でいたしますので、どうぞお構いなく、と思うのです。

 ・・・・思うに、この情緒過多・事実欠乏記事と報道の数々、実は日本における作文教育=『読書感想文』であることの影響なんじゃないかなぁ・・・・・・などとも。

 日本の学校教育、特に義務教育で、たぶん唯一の文章を書くトレーニングは夏休みの宿題、『読書感想文』だった気がします。あれ、読書した『感想』を書きなさい、と言われるんですよね、あらすじの説明などは一切なく。
 
 『感性』は、もちろんとても大切です。

 でも、残念ながら、読書感想文では事実を要領よく伝える、という最低限のコミュニケーション能は育たない・・・・・・。そして、社会に出て絶対に必要とされる、物事をわかりやすく最低限の言葉で説明する=説明文を書く、という教育は、実は大学に入ってもほとんどされない。
 私が知る限りでは、大学院も修士課程に入ってから初めて文章を書いて事実=研究結果を伝達しようという教育を受ける、という人は多いようです。

 新聞記者って、やっぱりいわゆる『文系』の人が多いから、情緒の勝った文章になる、とか??でも、文系だろうが理系だろうが、学校で教えるような『学問』は論理で構築されているわけで。どちらにしたって、論理的文章で事実を伝達する必要は絶対あるはずなのになぁ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・って、最初の話題から横っ飛びし過ぎ(笑)?

というよりも、私の頭の中にはずっと、理系・文系という学問における区切りって、なんかヘン、ということと、『説明文を書く』教育を義務教育でするべきだよね、というのがあるのですが、そこに都合よく、STAP細胞『報道』あれこれが引っ掛かってしまったのでした。

 とにかく、最初の記事2本、おすすめです。
 特にブログの記事、小保方博士の『研究における感性』についてのお話が載っています。これ、感動したし、わが身を反省しました・・・・。というわけで、是非どうぞ。