2019年6月28日金曜日

日常復帰

 一つ前の記事を上げてから、なんと2週間が経っている!とびっくりしています。

 今回のチリ滞在は、備品納入後のセットアップと、それらを使った実験と...のつもりだったのが、大学ストで大幅な遅れ。それでなくても、すべてのプロセスが遅れがちな(笑)お国柄で、頑張って手続きを進めてもらってもここで数日、あそこで数日、と待ち時間がかかります。結局、私の滞在中に備品は納入されず.....。

 最終日は、3時半ぐらいまでラボで仕事をして、その後大学から車で10分かからないところにあるオソルノ空港まで、カウンターパート教授に送っていただきました。車のトランクから大型スーツケースを引っ張り出していると、彼の携帯がなり、電話は秘書さんから。彼は何やら大笑い。
 なんと、私たちが名残を惜しみながらラボを発ったその5分後に、納入備品の第一陣が到着!したとのこと。いやはや、ついていないというか 笑

 とはいえ、実験はできたし、リサーチアシスタントのトレーニングもできたし、ま、頑張ったよ、と、満足感とともに無事に日本に帰ってまいりました。

 オソルノ→サンティアゴ→NY→東京という道筋で帰って来るのは4回目(ほか3回は、ロス経由だのパリ経由だのだった)なのですが、東京で荷物が出てこない!のは2回目!NY JFKで置き去りにされたらしく、次の日には見つかって、無事に送っていただいたのですが、やはり出てきた!という報告をいただけるまでは気が揉めますね。
 JFKで、サンティアゴから到着するのはTerminal 8,で、ここで一度荷物を拾って、すぐに出口ゲート横の乗り継ぎのカウンターに引き渡すのですが、ここから日本に向けて立つ飛行機が出るTerminal 1までの輸送がうまくいっていないんだ、きっと。
 一度目は、あのスーツケースにつける長い紙タグが破れたとのことでしたが、今回は、紙タグはちゃんとついており、単に置いてけぼりを食わされたらしいです。みなさん、乗り継ぎのある国際線は、スーツケースの特徴はしっかり把握し、内外に自分の名前を書き、紛失時に特定できるように手を尽くしておきましょう(と恨みがましく細かくご報告 笑)

 さて、日本。
 1ヶ月も留守にすると、実験をしようにも「立ち上げ直し」の感あり。ヘテロシグマたちも、1ヶ月間継代しないという過酷な扱いに耐えてお留守番していてくれました。新しい培地に移して、そろっと育て直しています。
 今年一緒に実験する卒研生が本学から訪ねてきてくれたので、指導教員の先生と一緒に打ち合わせをしたり。
 
 そうこうしているうちに、一番最近に受理された論文がonlineされました。

 どうやって解析して、どうやって納得してもらおうか.....と悩んだ論文だったので、形になると嬉しいです。人生初のSingle author論文ですが、大学に籍を置きながらこれはちと寂しい。次に書く論文は、学生さんとの実験をまとめたものにしたいものです。
 
この論文、12月に投稿、3月に受理、と、クリスマス・お正月を挟んだことを考えると、結構順調に言ったように思うのですが、受理されてからの編集プロセスが長い長い。
 実は、すでにonlineされているのですが、color chargeの請求がきてない。。。。このまま逃げ切れちゃうのかしら?
 ともかくも、来週は、この論文の紹介をさせていただきます。
 

2019年6月14日金曜日

早くも最後の週

 1ヶ月滞在、来た時には「長いな。。。」と思っていましたが、毎度のことながら、すぎると短い。
 来週月曜日には帰国です。
 今回、こちらに到着して、大学スト!と聞いた時にはよろっとめまいがしましたが。
 物品購入のための公示入札もすみ、その中から納入業者を決め、とにかく発注は終了。
 先週直していただいた藻類培養器でもらってきたプランクトンを培養し、それを使った実験方法をアシスタントに教えたり。
 今後必要な細々した実験小道具を、チリ公立大独特なややこしい方法で発注かけてもらったり。
  ラボ専属秘書のヒルダさんとは、これまで言葉の壁からほとんどおしゃべりしたことがなかったのですが、大規模な居室部分改修の影響で、彼女と私は小さな部屋のデスクスペースで隣り合わせの席になりました。お陰で、毎朝毎晩ほっぺたをくっつけて挨拶を交わし、Google translatorを間に相談したり冗談言ったりして随分仲良くなれたのは、この時期ならではの僥倖です。物品購入その他多くの事務処理でお世話になっていることからも、仲良くなれたのは心強いしうれしいことです。居室スペースが出来上がったタイミングでやってきたらこれはなかったな.......。

 大学ストだの、長引いている改修工事だの、遅延要因は様々あったのですが、良い滞在になった気がします。

 とはいえ、チリというところは、この『ラボ発注から大学発注の間』に悪くすると1ヶ月!かかるようで。大学内での処理期間を短縮するために、カウンターパート教授に、購入部と話をしてくださるようにお願いしなければ。

 チリ公立大学は、とにかくなんでものんびりしています。
 『人が優しい』のと、『のんびりしている』のは、リンクしているんだろうなあ.....。逆に、テキパキと仕事が進むようになったら、こんなに誰もかれもが親切、とはいかないのでは。
 カウンターパート教授も大変お優しい方で、いつも私のチリ滞在中の安寧を気にかけてくださるのですが、私が半日かかると見る作業を三日後に....などと言われることが頻繁にあり、私が「今からやれば、今日の午後には終わるでしょ。できるんだったら、今やりましょっ」などと掛け声をかけるたびに、ちらりと苦笑い。
 日本からやってきてはせかせかとせっつく私が、一年間の共同研究ののちに彼から頂戴した冗談まじりのあだ名は、Your Majestyです。(女王)陛下....笑。

 仲良くやる、のはもちろん本当に大事ながら、効率も大事。5年あるプロジェクトの1年以上が終わってしまったことを考えても、仲良くを追求して単にのんびり、とはいきません。
 とはいえ、乗り込んいっては、あれやって!これやって!!....で、とうとう嫌われてしまったら、当然何も進まなくなる。

!!!.....というより、こんなに優しい人たちに、嫌われちゃったら悲しすぎる.....!!!

この辺のバランスをとるためにも、今はこちらに合わせてほぼ全て英語でしていただいている会話のうち、日常会話、ラボでのおしゃべりぐらいは、せめてスペイン語でする、しようとしてみせる、のは、大事な気がしています。倦まず弛まず、Google Translator片手にコンタクトを取ってくれるラボメイトに応えるためにも、ここはやはり、少しでもスペイン語を身につけなければ。

 ところで。
 スペイン語で、YesはSiです。
 先週も出てきた研究員@隣町(これからYさんとしておきましょう)から教えてもらったのですが、チリの方言、というか、口語で、これにpoをつけてSi-poというのが結構多いそうで。確かに、耳を澄ましていると、チリ人同士の会話では、相槌打つのに連発しています。
 彼女は、このことをスペイン語の個人教師から教えてもらったそうなのですが、私たちが、『Si-po!』と返事をすると、不意を突かれるのか、チリの人はみんなすっごく笑ってくれます。今まで滑ったことなし。笑

 ひとことで、わっと雰囲気が和むのを見るにつけ、やっぱり言葉って偉大だ。。。。と思います。
 
 .....言葉がわかれば、週末、街に出てひとりでお昼ご飯、のときにも、美味しいもの食べられますしね。



 
 
 

2019年6月7日金曜日

遅々としながら、進捗も

 オソルノ滞在3週間目。
 未だ備品が手元に届かない.....とはいえ、進捗を見ています。
 頑張ってくれている研究室の秘書、ヒルダさん。一歩間違ったら、「それ、私の仕事なの?」と後回しされても仕方ない業務なのでは、と思う面もあるので、毎日大学部局に電話を入れて進捗チェックを怠らずにいてくれる彼女に、本当に感謝です。
 また、搬入が遅れている実験機器を補おうと、ラボに長らく故障したまま置いてある機材の修理を試みてくれるモウリシオさん。いや、もう眠っている機材とはいえ、素人が電気系統いじるのって・・・と半信半疑な私の眼の前で、あちこち開けては、電気伝導度調べたり、モーターの回転をチェックしたり、あらら。。。部品つぎはぎながら、使えるようになった!


 同じプロジェクトに、長く米国に住でいた研究員が一人いて、彼女はこのプロジェクトの中核を担うIFOPという機関(オソルノの隣町)に滞在しています。彼女はチリ滞在8ヶ月になるのですが、彼女と、チリと米国の違いについて、特に外国人の立場で感じる違いについてのおしゃべりで、盛り上がりました。
 なんといっても、チリ人って、優しい。とくに、言葉が通じないことにものすごく寛大。これは、米国、特に東西両海岸沿いの都市部では、ほぼありえないことです。
 英語しか話せない私たち、しかし、チリで英語を話す人は、大学だとまあ2割、船員さんとか、非常に特化した技術補佐員が職員の多くを占めるIFOPでは1割。
 なのですが、何とか通じさせようと、Google translator駆使しての会話に倦むことのない彼ら。そもそも、会話の9割方は、通じなくて困るのは当方のみ、なわけで、それでもコミュニケーションをとってくれる彼らに、感謝と尊敬であります。
 ヒルダさんは、このプロジェクトが始まるのをきっかけに、英語の勉強を始めたのだそうで、週に1回の大学の英語教室に通っているのだそう。彼女の英語と私のスペイン語は、いい勝負。とはいえ、Google translatorは、英語⇄スペイン語の翻訳は相当優秀で、これを使えば、時間さえかければ、備品調達の事務手続きなど、込み入った話も何とかなるのはすごい。技術の進歩に感謝です。このプロジェクトが3年前だったら、こうはいかなかった。
 これだけしてくれる人たちに、いつまでも英語で話しかけるのは、イカンでしょう。というわけで、やはりスペイン語を身につけよう、と決意。ここに書いたからには、やります。

 そして、一方、どこにいても変わることない実験については、本プロジェクト専属のアシスタントのカレンさんと。ちょっとトリッキーなPCRを使った実験がうまくいかない...と言っていたのを、一緒にやってみてポイントを教えたところ、うまくいったのを見て、彼女の喜ぶこと。染色したゲルの写真をを見て、大喜び、そして、次の日の朝、うまくいかなかった時に相談したラボメイトに「みてみて、できた!うまくいった!!」と報告するのを見て、あはは、よかったよかった!そのまま続けて、今週の実験で、条件検討も終えられそう。
 凸凹多くはありますが、手当たり次第できることから始めると、進捗も出るものです。今回はあと10日程度ひと頑張り、次の9月訪問に向けて(!)きりのいいところまで進めたいところです。