2014年9月26日金曜日

Bootcamp!

 Bootcampっていうと、日本だと、ちょっとまえに話題になったBilly's Bootcamp、キビシいエクササイズで知られてますよね。
英語だと、新兵を対象にした特訓コースって感じでしょうか。あるいは短期集中速習コース、といおうか。

 先週は、2泊3日でゲノム支援でお世話になっている某研究室に、遺伝子解析を教えていただきにお邪魔しました。少人数どころか、1対1で教えていただくという、これ以上恵まれた条件はあり得ないような短期集中特訓です。

 ここ1年ぐらい、手を染めては挫折し、本を買っては途中でなげ……コンピューターを用いたデータ解析。幾つか身に付けなければならないことはあったのですが、それらすべてがいわゆるコマンドラインで動かすもの。
 コマンドラインって、確かに、コトバでいろいろなものを指定する訳で、直感的にはそれほど取っ付きにくい感じはしない…のですが、ちょっとしたオプション指定とか、そもそもうっている最中にスペルミスでスタックするとか、私には挫折要因満載。でも、ゲノム支援拡大班会議のときにご挨拶した支援担当の先生に、『なかなか独習は苦しくて』と云ってみたところを、『わかっている人に教わった方が早いですよ。そのつもりで訪ねてもらえれば、なんとかしましょう』という頼もしいお言葉をいただきました。勇んでスケジュール調整をお願いして、2泊3日でお邪魔してきました。

 お邪魔する方は、自分の身になることで、ありがたい一方なのですが、受け入れ側は、大変だと思います。嫌な顔一つせずに受け入れてくださったことに、心から感謝です。O先生、本当にありがとうございました!

 この二泊三日の訪問で、多分、必要なことは身につけた…気がする。これで充分かどうかはわからないけれど、やっぱり使ってみた〜い。というわけで10月中に仕上がってくる外部委託した配列解析結果を待つのみ。物によっては、次世代技術を持ってしても、そう簡単には読めないよ、という専門家の声もあるのですが、それはそれ、せっかく教わったことが頭からこぼれないうちにと、結果を首を長くして待っています。
 

2014年9月19日金曜日

時の移り変わり、もうひとつ

 最近、改築以外に時の移り変わりを感じたことがもう一つありました。

 こちらでグループを立ち上げた2011年9月から、ずっとお世話になっていた販売代理店の担当者さんのうちのお一人が移動されることになったのです。

 着任当時、つまり、米国から帰国したばかりの私が一番びっくりしたのは、理化学実験に使う機器・消耗品の値段の高いこと。当時、1ドル78円と空前の円高だったのですが、日本のこの手の製品のお値段、1ドル100円に換算しても、米国の2〜3割増ぐらい。とにかく、消耗品をそろえるのが精一杯、というわけで、チップ1本、プレート1枚のコストにまで血眼になっていたわけです。

 物品購入の際の条件は、1にも2にも安いが一番!という、営業さんにはまったく面白くない顧客だった訳ですが、試薬や消耗品を買おうとすると、あと○○日待てばキャンペーンで半額になるという、おトク情報を教えていただいたりいろいろ親切にしていただきました。また、この業者さんの会社が秋に開催する『アウトレットセール』のパンフレットをいただいたその場でめぼしいものを注文し漁った、なんていうこともありましたね〜〜。

 当グループの貧乏自慢がいくらでもできた時期から一番お世話になっていた上に、ご本人がこちらを担当されるようになって15年!とのこと。ワタクシ的には、苦しくも楽しくもあった立ち上げ期、その後予算が入るたびに一つ一つ機器を揃えていった、その過程でよく相談に乗っていただいたわけで、なんとなく、ずっとお世話になる気分でいたのですが、移られるということで、あら、驚き。なくなってしまった旧管理棟とともに、『時間はたっているんだな〜』と実感しました。

 というわけで、ここに書ききれないこともたくさんありますが、Mさん、お世話になりました。あたらしい場所でも元気で頑張ってください!
 

 
 

2014年9月12日金曜日

この夏、楽しかったこと

 先日、大学院をでたばかりの若い研究者と、今後一緒に働けたらいいね、と、プロジェクトを立案して、さる研究助成に応募しました。7月初めに、読むべき論文を何本かお渡しして、こんなことをやってみたら面白いかも、というぼんやりした枠組を最初におはなしし、さて、立案開始。

 あちらは、ヘテロシグマは、触ったことが無い人。
 こちらは、ぼんやりしたアイディアはあるけれども、それをまとめるところまで持って行っていない人。

 ほとんど面識のない人と、そもそもぼんやりしたアイディアのかけらについて意見を交換し、最終的には研究計画書にまとめあげたわけです。

 考えてみれば、研究計画を練る=研究費の申請書を書く、という活動って一人でしがちなものです。私についても、練って書き上げるところまでは一人で済ませた後、共同研究者に意見を求める、というかたちでやってきた訳です。
 脳みそ二つをもちよって、計画の枠組みを決めて練り上げて最終的な文章にする、という道筋を、すべて共同で、というのは、本当に始めて。

 ……だったのですが、この過程が、すごく楽しかった!1ヶ月たらずの間の交換したメール計画を練り上げるための添付書類をつけたものだけで50往復。最初はぼやっと『面白そうだよね』という程度の形だったものが、最後のメール5往復で、急激に『研究計画書』の形に立ち上がって行くのは、共同作業だから余計に印象的でした。

 鍵はやはり、密な会話=debateでしょうか。
 研究計画は一人でも練れる、ひとりdebateすればよい……が、当たり前ながら、興味を持った生身の人間と会話を交わす方が数倍楽しいものでした。

 このdebate、私自身とても学ぶところがありましたが、タブン、誰かと一緒に練り上げる、というのが一番役に立つのは、『研究計画』を始めて書く人、つまり学生さんですね。
 学部・大学院を通して博士号をとるまで、研究のうちでも、『実験して、された質問(提示された仮説)に答えを見つける』、という活動はたくさんしますね。学生時代には、所属講座の教官が既に研究計画を持っており、それを、学生さんが各自の創意工夫で実行して行く、という形が多いわけです。一方で、研究計画、というのは、『そもそもの仮説を提唱し』、『必要な実験を幾つか組み合わせて、仮説を証明する道筋をつける』ためのもの。学生時代には、この部分を自分で行う訓練は、ほとんど受ける機会がないわけです。
 でも、最近になって、殊に『有為な質問を見つける』能力は、研究者として生き残るために不可欠な要因だという気がしています。

 この能力をわかりやすい形の訓練で身につけることができるかどうか、は、微妙。でも、質問を見つけるためには、たぶん、情報とアイディア交換のための密なdebateがとても助けになり、この夏私たちがかわした100通以上のメールでは、それがうまくできていたわけですね。

 たまたま一回うまくいっただけでしょ、と云われると、うもすもありませんが、このやり取りは本当に楽しくて、味をしめてしまうに充分でした。

 大学院にいこうかな、と考えている学生さん、うちにきて早いうちから一緒にScientific debate満載で研究計画をたてませんか〜〜?実験はもちろん面白いもので、大切にちがいありませんが、研究計画を立てるって云う部分、学ぶのを後にとっておくのがもったいない楽しさがあります。科学するとは、『仮説をたて』『それを証明する』繰り返しによって真実を探求する、ということ。仮説を立て、の部分から始めないと、醍醐味の半分ぐらい取り落としている格好になります。まっさら白紙の状態から、ああだこうだとやり取りして、最終的にはビシっと決まった『研究計画』の形に書き上がったときの快感って、ほかではなかなか味わえないです。(ま、快感を持って書き上がっても、審査がキビシく落とされることは大いにありえます。それはそれ、として。笑)。
 そもそも、このブログ、学生さんへの宣伝のために始めたのです。久しぶりに宣伝文句を書いてみました。

 
 





2014年9月4日木曜日

萌芽G創立3年です!

 9月に入り、このグループも設立して3年が経ちました!私自身にとっても、倉敷での季節も、そして、日本の大学での暦も4巡目に入った訳です。年間スケジュールにもなれてきて、いろいろやりやすくなってきました。

 夏の間に依頼した葉緑体ゲノム読みも、ウイルスゲノム読み、進捗状況についてのお知らせをぽつぽつといただいています。夏の間は書き物が重なったのですが、その間に確実に仕事が進んでいるって、本当に心強いことです。
 これらが無事完了して、解析もなんとか終わらせたら、これからやりたいことの準備がしっかり完了します。下準備の長いプロジェクトで、少々焦りも感じておりますが、本格的に展開できるまであと少しの辛抱です。

 書き物も一段落ついたので、さて、やりたいことがいろいろ。今後の実験の計画を考えて行くと、きちんとつめていおいた方が後々便利な条件設定実験をたくさん思いついてしまい、ひとつひとつつめて行く毎日です。なにごとも、基礎がしっかりしていないと、後々たたられますからね。あとで泣き面しないで済むように、慎重に再現性を見ながらあれこれと試してみています。

 というラボ内のあれこれとは別に、着々と進んでいるのが、例の増改築。私たちが、今年の改築に際して入った部屋の一つは、旧・管理棟に一番近い部屋なのですが、ここからは、工事の模様がよく見えます。
お盆直後ぐらいまでは、防音シートで囲われていた建物が、あら、ある日、なんか低い…?と思ったら、まず2階がなくなっていました!そして、次の日には、1階も砕かれていました!写真奥、オレンジ色のクレーンが動いているあたりは、ちょうど、例の大会議室だったあたり。あの、みんなで落書きした部屋の壁も、色付きのまま粉みじんに成って運び出されて行ったのでしょうか。

…う〜〜ん。秋の気配の中に諸行無常を感じてしまいます。なんちゃって…。