2014年7月18日金曜日

季節は巡り……

 7月も半ばとなると、目に入ってくるのは、来年度にむけた研究費申請。
 大学で研究するための資金源として一般的な科研費の次年度予算の申請は10月末……となると、そろそろネタを整理して、必要な予備実験をしたり調べ物をしたりする時期なのです。

 というわけで、実験の合間にPCの前に座ってやってみたいこと・面白そうなことを箇条書きにして、アイディア整理。輪郭が固まったところで予備実験開始です。

 グループ設立から3年間たち、そろそろ予算申請、というよりも採択について、私たちなりの『ジンクス』ができてきました。

 一言でいえば『常に危機一髪』。

 そもそもは、最初にいただいた財団からの研究費、まだ残高は有れど、その使い道はしっかり決まっていて、研究費的フトコロが寂しくなってきたころのことです。
 次の予算をとろうとあちこちに応募し続けてはいたのですが、おちて落ちて落ち続け………というある日。実験室の冷蔵庫をあけてみると、

 …………ぬくい。
 なんと、低温保存の試薬・酵素もろもろを入れた冷凍冷蔵庫が壊れてる!!

 これ、生物学のラボで働いたことのある方にならば、どれだけショックか想像していただけると思います。中に入っていた試薬・酵素もろもろは、ラボ開闢から1年間、爪に火をともすようにしてそろえた数十万円相当。寂しいフトコロからは補填するだけの余裕が有る訳もありません。とはいえ、これらは日々の必需品、なくなったら実験もできない。

 こうなると、どうしよう……なんて、思い惑う余裕もありません。たまたま次の日に締め切だった某財団研究費をみつけ、応募書類を書き上げ、事務に駆け込み提出。財団の研究費は、倍率10倍から30倍。出したってもらえたとしても半年後、しかも9割5分がた『落ちる』のはわかっていても、この状態で手をこまねいている訳にもいかない。

 やれやれ、です。
 ため息まじりにメールボックスをあけたら、アラ、封筒が。差出人は、応募したうち唯一結果をもらっていなかった財団。
 中にはペラリと、『採択のお知らせ』が。
 なんと、このタイミングで、通るとは全く思っていなかった残り一つの申請が通ったとのお知らせをいただいたのでした。
 
 た、た、たすかった……。へなへなと力が抜けました。
 首の皮一枚で生き延びるって、ああいう気分をいうんですね~。

 以降、私たちのグループは、その次も、そのまた次も、「予算採択のお知らせは、『前にとった研究費すっからかん一歩手前』に頂戴する」というパターンが成立してしまっています。

 これまでに聞いたことのあるかっこいい表現を剽窃すると、「研究費は弾薬と同じ。全部使いきらなければ意味がないが、途中できらす訳にはいかない」だそうです。
 ま、使い残しを持ち越す訳にはいかないのは、研究費の決まり事。
 スッカラカンにならないように、うまくつなげていくのが手腕の見せ所なのでしょうが、今回はいかに。
 
 
 
 

 
 

 
 

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