2017年12月8日金曜日

師走です!

 また、前にも使ったことがあるタイトルですね。

 そう、師走です。今年もあと1月切りました!
 思い起こすと、とてもたくさんのことがあった一年でした。早かったのは事実なのですが、あまりにいろんなことが・・・・・・いろいろな『良いこと』が・・・・・起こった一年で、今年の1月1日のことが霞んで思い出せません。たった11ヶ月ちょっとしか経っていないのに、遠い遠い道を来たような気分でもあります。
 素晴らしい一年でした!と締めくくれるように、あと20日ちょっとを過ごそうと思います。

 今週は、瀬戸内水研主催で開かれた「赤潮・貝毒部会」で聴講してまいりました。研究発表を聞いて、へえ、そんな便利で手軽なモニタリング方法があるんだ。。。。というところから「!それ、実験室で使ったりして!」などとアイディアが浮かんだり、やはりこうやって情報を仕入れるのは重要です。

 さらに、日本の赤潮研究の第一人者I先生が、来年ひとまずは退官を迎えられることもあり、I先生のこれまでのご研究についてのご講演をいただきました。
 I先生の一つ一つの研究実績が、今は赤潮研究に携わる者にとっては「教科書」となっている専門書のうちかなりの部分を占めるわけですが、お若い頃から進めていらした研究のほんの一部分を、ユーモアに包んでわかりやすくお話しくださり、勉強になるとともに、もっと本腰を入れてヘテロシグマ生理のあれこれを攻めなければ!と思いました。

 あれとかこれとか、やってみなきゃね、面白そうだよね、あんなアプローチで、、、という漠然とした興味とアイディアで止まっているものの数々。ちゃんとリストアップして、木既存の情報もしっかり整理して、勉強しかけて止まっているアレは一旦ちゃんと終えて、、、なんて言っているうちに、あっという間に年末を迎えそうです。
 
 

2017年11月24日金曜日

デモ

 今週は、お願いしていたとある研究機器のデモがありました。

 この機器、赤潮研究に使っている人がいることは知っていたのですが、その頃のものは1台ウン千万円してしまう、高額機器。とっても自分では買えない上に、一般的に言って植物の研究には使えないもので。お値段を考えると、自分で買うなんてありえない、しかも、研究所に共用機器として入れることもありえない。「それ」がなければできない実験は、いくつも考えられる、ということは、私には一生(?)その手の実験には手が届かないんだ。。。。と、ミジメな気分になったのが、ちょうど6年前。

 ところが、です。
 この機器、特に哺乳類を扱う細胞生物学では、かなりメジャーでみんなが使いたい機器。最近、この機器を小さく、メンテナンスも簡単に、そして安価に!の変化が進み、頑張れば私でも手が届く範囲に入ってきてくれたのです。

 世の中の進歩ってありがたい....。 
 できること、できそうなことをデモで教えていただきながら、じわっと嬉しい気分でした。
 今週は、他にも、ちらっと研究関係でちょっと楽しみなお知らせを共同研究者からいただきました。こちらが発展してくれたとして、、デモしていただいた機器とうまく組み合わせることができれば。。。結構いろいろなことができるはず。ヘテロシグマ研究、細胞分子レベルで大きく発展、の手がかりにできる、は、ず......!

 今年も残るは5週間。チリ・プロジェクトの準備で、「研究者らしからぬ業務」で新鮮な気分を味わわせていただいた1年でしたが、やっぱり本業は実験科学、ラボでの嬉しい・楽しい出来事が一番です。
 
 

2017年11月17日金曜日

気温急降下

 今年の秋は、雨降りが多かった気がします。ここしばらく、久しぶりにカラッとした青空が。しかし、この季節にカラッと晴れると、いきなり気温が落ちたりしますね。
東京や大阪の気温を見ているそうでもないようですが、今週末、倉敷は一気に寒くなるようです。
 金曜日の最低気温、予報では2度。
 ついこの間まで暑さであえいでいたような気がするのですが。

 暑さと寒さと言えば。
 特に春頃から始まったチリプロジェクトの調整、春から2回南半球に飛んだり、書類はたくさん提出するし、いろいろな人たちと話をするしで、振り返ると、なかなか激しい半年間でした。
 やっとそろそろ落ち着きを見せてきて、別件で科研費の申請書書きも終わったし、気温が落ちるととも「平常モード」に帰ってきた気が。頭が冷えたような気分です。

 というわけで、平常モードの実験と解析と書物の毎日。
 今年は、研究費不足な一年で、お金がかかる実験はなるべく避けておりますが、一方で、これまでにいくつかやっていた次世代シークエンスのデータをねちねち解析すると、思わぬ収穫があったり。せっかくの平常モード、腰を落ち着けて色々まとめて論文につなげようと、解析と論文書きを同時進行。こう言うことは、ちょこちょこ出張が入ったり、提出書類が山積みになったりするとなかなかできない。頭冷やして平常モードって、本当にありがたい。

 去年は、修行はじめのスクリプト書きでなんとか配列解析→論文につなげたわけですが、今年は、ささやかながらスクリプトをデポジットするような論文にできるとよいな♫などと思いながら筆を進めています。
 

2017年11月10日金曜日

意外な効能

 このブログ、そもそも始めたのは、「狼煙効果」を期待して。

 私自身がこの研究所に着任して、新しいグループを立ち上げて新しいテーマで研究を始めて。。。というチャンスをいただいたわけですが、空っぽの部屋から新しいテーマで研究を始めると、、、、学会では発表をしていたのですが、論文がなかなか出せず。
 また、この研究所は大学のメインキャンパスから外れた所にある飛び地研究所。大学での授業を持っているわけではなく、となると、そもそも授業を担当することにより、自分がここにいる、と言うことを示すチャンスもない。できれば学生さんに来て欲しい、興味を持って欲しい、と思うと、これはなんとかExposure の機会を獲得せねば。
 つまり、自分が、この大学のこの研究所にいて、こんなことやってます、をなんとか知らせる方法として、このブログを始めたわけです。

 狼煙、っていうのは、ワイルドな匂いがする言葉として気に入っていたのですが、無い無い尽くしのスタートから、なんとか研究を軌道に乗せて結果を発表して、という、サバイバルな過程で選んだ言葉としては妙に適切かつ切実ですね。
 なんとか生きてるんだよ〜〜、という証に、、、っていうあたりが。。。。

 で、振り返ってみればほぼ5年間、ほぼ毎週活動状況を細々と続けているわけです。学生さんに読んでもらえているかは疑問ですが、思いもかけしない方が目を通してくださっている、というのも経験していたりします。以前、お目にかかったことのない他大学の先生から、集中講義担当のお誘いをいただき、しかし、テーマ違いのような気がして、「実は今はこんなことをやっているのですが、、、」と、このブログに言及したところ、こちらをご覧になってお声をかけてくださったとのこと。
 思わぬことに感激し、狼煙って大事だわ、などと思いました。
 
 同業者に読んでいただいている一方で、いつも読んでいてくださる方のお一人は、なんと中学校の同級生。
 中学校の3年間同じクラスで、その後顔をあわせることもなく成人し、しかしひょんなことから、米国ニューヨーク近郊の町で再会し、その後はご家族も含めてお付き合いさせていただいています。ちなみに、彼は、ビジネスマン。今でも米国で元気にご活躍中なわけですが。
 この間、その彼からメッセージが。
 『このあいだの記事に書いてあった、レファレンスにショートリードをマッピングして。。。。て、分かりやすく言うと、どういうこと?』夜、お酒を飲みながら読んでいたら気になったので、とのこと。
 彼が読んでいてくれているのは知っていたのですが、そして、実は書きながらそのことが頭をかすめ、もう少し説明工夫しようかな、、、、と思いつつ、そのまま載せてしまったのですが。
 こうやって、興味を持ってもらえると、とてもうれしいですね。週末のくつろいだときに面白く読んでいただけるって、なんというか、一番光栄です。
 色々表現を考えてお答えしたところ、それに対しても、「おお!わかってもらえた!」と言う手応えを感じるさらなる質問をいただいたりして、それも、と〜〜っても嬉しかったです。

 というわけで、Tさん、いつもお読みいただきありがとうございます。励みになります♫

 実は、自分でこのブログを読み返すと、x年前にはそんなこと考えていたのか?とか、こんな状態にいたんだ??とか、びっくりすることもしばしば。
 細々とでも長く続けていると、思わぬところで意外な効能を感じます。継続はなんとやらって、ほんとですね。

 
 
 

2017年10月27日金曜日

フロンティアあれこれ

 今週は、数名のゲストが研究所に見えてセミナーをしてくださいました。

 そのうちのお一人は、私自身が米国からこちらに帰ってくる直前あたりに一度お目にかかったことがある植物ウイルスの研究者(あちらは多分、お忘れとおもわれる)。
 そのころの彼女の研究は、他のウイルス研究者とはちょっと違った発想の研究を、ちょうど始められたあたりでした。
 その時のトークは、正直言って、彼女が求めている研究の方向というか、概念についてはよくわかったものの、研究の成果に当たる部分については、いまひとつ印象が薄い気がしていたのですが、あれから6年。

 今回のセミナーでは、面白そうなネタがざくざく見えてきている、という印象。ネタが多すぎて、手が追いつかないかも、と思えるような感じ。いいですね〜〜。

 そう、6年前は、技術的にもアイディア的にも、彼女の研究はいわば黎明期に当たっていたのだと思います。古典的な植物ウイルス学出身の方なのですが、フィールドサンプリングと次世代シークエンサーを使った網羅的な解析とを組み合わせ、そこから得たものを彼女お得意の分子細胞学的なアプローチに持ち込んで、対象も植物だけでなく、真菌(コウモリの病原体なのだそうです)にまで広がっており。
 アプローチを固定して、しかし対象の生物種についてはこだわらず、トピックもあちこち手を出しては面白いと思う方にずんずん進んでいく、こういうの、すごくアメリカっぽい。

 こういう、面白そうなものにはじゃんじゃん手を出して、周りはちょっとびっくりするけれど、ご本人は確信に満ちている、と言うタイプの研究者が多いのは、特に日本と対象的なアメリカの特徴だった気が。今回のスピーカーのような、一見節操がない?かのように見えて、しかしご本人にはちゃんと道が見えており、時間がかかっても、そのうち上がってくる成果に周りも納得。。。。って、これぞBlue Oceanに漕ぎ出す冒険。
 
 日本は、多分世界の中でもとりわけ職人気質・磨かれた技術を高く評価する国で、そのせいか、学生の頃からずっと同じ生物の同じ現象、人によっては同じタンパク質を扱って・・・という研究者、多い気がします。このアプローチは、特にそれだけ長い時間、携わる価値があると周りも認める研究対象であるほど、Red Oceanで戦い続けることを意味しますね。

 赤青どちらで勝負しても、新しい海をフロンティアとして求めるか、それとも、深く潜って行った先にフロンティアを求めるか、結局はフロンティア探しなわけですが。

 ヘテロシグマ研究も、Blue Oceanを目指したもの。そういえば、4年前に、こんな記事を書いたこともありました。今回のセミナーは、これから6年後に、面白いネタざくざく、につなげるためには?と考えるとてもよいきっかけをいただきました。

2017年10月20日金曜日

10月もあと10日

 早いもので、10月もあと10日。
 つまりは、今年が終わるまであと70日ちょっと?!

 月日が経つのは早いものです。気づくたびに驚いてしまいますね。

 この季節といえば、とりあえず科研費。
 今年は、大幅に申請書のフォーマットが変わりました。申請書のフォーマットが変わるということは、つまり、評価されるポイントも変わるはず。
 改変前後のフォーマットを見比べて、どんな評価を受けることになるのか、考え込んでしまいます。
 こういうときに面白いのが、 Twitter.どうしても、研究者をフォローしてしまうのですが、彼らのこのトピックに関するさえずりは、読んでいて笑えたり、身につまされたり。
 特に、今年から入った「申請計画を考えついた経緯」というのは、どう説明したら良いのか、というのは、研究者たちのツイートを見ていると、みんな迷っているようで。。。
 こうなったら、思いっきりポエムに書いてやる!的奇抜な書き出しの提案とか、純粋に、なんて書いたらいいんだ〜〜!という叫びなどなど、情報収集のつもりで覗いたはずが、ついつい楽しみで読んでしまうという。。。。

 うちの大学の学内締め切りは、11月はじめ。その頃までは、書き終わってもなんども読み直して、書き直しては思い直して元に戻し・・・という日々になってしまいます。
 何かの目標に向かって毎日を過ごす、というのは気持ちの良いもののはずですが、う〜〜ん、審査を受けることを考えると、やっぱりどよっと心重くなりますね。つぶやいたり囀ったりしている同業者の皆さんと、今年もこの季節を無事に通り抜けたいです。。。

 そんな一方で、最近満たしたヘテロシグマ葉緑体及びミトコンドリアゲノム。レファレンスは存在しているわけで、それと照らし合わせながら、マッピングして、アセンブルして、を繰り返して最終的なシークエンスを得るのですが、数ラウンド繰り返してだんだん整合性が取れてくるのは、地味な地味な長い作業ながら、何回やっても快感です。
 研究費の申請書のように、どう頑張っても結果に不確定要素が残るものに取り組んでいると、レファレンスありのアセンブリのように、頑張れば結果につながるとわかっているものを相手にできるのはありがたい。とっても心が落ち着きます♫

2017年10月6日金曜日

同業者たちの苦悩

 毎年のことながら、科研費応募の季節です。
 来年度からの命運がかかる季節、大学教員のうちのかなりが申請書書きにうなされる季節(だと思われる)。

 御多分に洩れず(?)、私自身も、これまでに落としてしまった申請書を取り出して、アイディアを切り貼りしたり、書き直したり、ため息をついたり、頭を抱えたり、、の毎日です。

 そんなある日、岡山大学のメインキャンパスにいる共同研究者のところに、ヘテロシグマを手渡しに行ってまいりました。
 せっかくだからとコーヒーブレイク。
 数年前、岡山大学に、小綺麗なカフェができました。学部の建物からは程よく離れており、さっぱりした内装で、可愛いカップでコーヒーが飲めるこのお店、客の年齢層が、大学にしては高い気が。

 そう、大学教員御用達なわけですね。お手軽Faculty Clubっていう感じ。
 別の大学から訪ねてくださった共同研究者と、直近同僚や学生さんの耳を気にしないでざっくばらんにおしゃべりするのにうってつけなお店なわけです。

 外壁全面ガラス張りのこのお店で、さんさんと秋の日の降る外の景色を眺めながらコーヒーをのみながら、いろいろ情報交換(研究だの、共通の知人だの、自分の所属部局の中の色々だの、雑多な話題なわけですが)。のどかとも言える午後のひとときのはずが、どうしても話題は科研費の申請書だの、研究費の獲得だの現実的かつ喫緊の課題に戻ってくる。。。
 と、あちらの方に座っている二人組が「基盤Cが。。。。基盤Bが。。。。」
 そのおふたりの後ろに席を取っていらした、もう少し静かめ・年配目のお二人が「・・・さんは、〇〇プロジェクトを持っているから××で。。。。」
 ああ、あの方々もこちらのお二人も、科研費or研究費の話をしている。共感とおかしさで、笑いを噛み殺す私たち。

 いやはや、この季節は、研究費獲得しなければ!の危機感が細かい細かい粒子になって空気中を漂っている気がしてしまいます。
 全然わかっていなかったけれど、私が学生だったときの先生方も同じお気持ちだったのでしょうか。。。
 なんとも妙な感慨に浸ってしまいます。

 全国の同業者の皆様、今年もご一緒にこの季節を無事乗り切りましょうね。って、結果を笑顔で受け取れるのはそのうちの25%程度というのが結局一番切ないのですが。。。。。