ヘテロシグマ赤潮!
ミクロン単位の大きさの単細胞藻であるヘテロシグマが急激に増殖すると、空からでも視認可能な『赤潮』というマクロな現象を引き起こす。その後、ウイルス感染により急速に死滅、赤潮は消滅して青い海に戻る。自然界にこれだけ分かりやすくダイナミックな現象って少ないんじゃないでしょうか。
ヘテロシグマの研究を始めよう、と思ったのは、この分かりやすさ・ダイナミックさに惹かれた故、といいながら、、私は、実験室での実験ばかりしていて、そもそもの『赤潮』は、テレビ中継や写真でしか見たことが無かったのです。
これからは、やはり環境からのサンプリングと、その解析も搦めて研究してみたい。
などといいながら、去年は、共同研究者に、赤潮がでたらサンプル送ってくださいとお願いするという生温いことをやっていました。
そして、去年はなぜか、ヘテロシグマ赤潮はでなかった…。
こういう心がけはよくないですね。
今年は、現場での採水に立ち会って、貰い受けた海水をラボに戻ってフィルター濾過してサンプル集めをしよう、とココロに決めたのが、この4月。
去年に引き続いて、共同研究者となっていただいている水産総合研究センターのN研究員にお願いして、6月初めにサンプリングの要領をみせていただいて、その後、赤潮がでたら本格的に対応できるようにしよう、と、腹をくくりました。
プランクトン捕集に必要なフィルターを数種類揃え、こまごました道具も揃え、強いバキュームも買い込み、用意は万全、のつもり。手始めに、赤潮がでていない海のサンプルを『定常時』として採集するつもりで約束したのですが。
なんと、その前日に、地元の漁協関係者から、『海が赤くなってきた』と連絡が入ったとのこと。
ええ?そんなにタイミングよく行くかな??と驚きながら現場に向かったところ、
なんと!!!
海水表面が、茶色くむらになっています。これぞ赤潮! なんとなく、トロッとしていそうにも見えます。 |
去年は全くでなかったことを考えると、なんというタイミングのよさ。
赤潮、と一言にいっても、いろいろな藻類が原因となる赤潮があるのですが、Nさんが調べてくださったところ、これは立派にヘテロシグマ赤潮でした。
引きが強い、とほめていただきました(笑。
というわけで、火曜日に思わぬ儲け物で本格サンプリングの後、水・木・金、一日とんで、日曜日にもサンプリング。さらに翌週、もう2〜3回サンプリングの予定です。採水はNさんのおかげで実に手早いのですが、海水を合計5リットル近く抱えてかえるのがかなり辛いのと、帰ってからの作業が結構長い。
とはいえ、これの解析結果は楽しみで、気分があがります♪
しか〜し。
作業をすることで、実験の新しいアイディアも湧いてきた。しかも、本当は、定常時→出懸かったかな?→増えてる増えてる→ピーク→衰退期→定常状態、という各段階のサンプルがそろえば理想的、なのが、今回はいきなりピークに近いところからしかサンプルがそろわなかったな…と思うと。
もう一度ヘテロシグマ赤潮が発生したら、最初からもう少し丁寧にサンプリングしたい気がしてきます。
もう一回、この生活か、大変だな〜、とひるむ気持ちはあれど、いや、完璧を目指してもう一度チャンスを狙うか?という気持ちも強い。
赤潮は、発生しない方が周辺水域のコンディションのためには望ましいのですが…。
万が一でたら、チャンスを生かさないとね、と、必要な消耗品リストをチェックしております。
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