2015年3月20日金曜日

サンプリングポイント候補見学

 年度末ぎりぎりになって、研究にも進展が。
 ヘテロシグマに感染するウイルスのゲノムの解読が、完了いたしました!そもそも、とある企業のおトク解読プランにのっかって、ウイルスゲノムを読んでしまおうとしたのですが、これが思わぬ難物で。
 途中までは、頑張ってみたのですが、最後の最後で難問につきあたったところ、頼りになる共同研究者が私には解答不能だったパズルを解いてくださり、みごと解読完了!本当にありがたい助力にこころから感謝です。
 さて、この情報を使って、次の段階へ。これからしばらく、慣れない配列解析にいそしむ毎日が続きます。

 というニュースとは別に、今週はサンプリングのポイント候補の検討のために、出張見学へ。
 私たちは、もともとは、分子生物学・細胞生物学的な視点から、赤潮原因藻であるヘテロシグマが面白そう、と研究を入って行った訳ですが、ヘテロシグマの研究を進めるうちに、やっぱり、赤潮発生中の海水をサンプリングして、リアルタイムでアッセイするような実験が組みたい!と思うようになりました。
 そこで、英虞湾の賢島近くにある三重大学水産実験所の見学にお邪魔して参りました。

 いそいそと計画を立ててみたら、これが岡山からは行きにくいところにありまして。結局、新幹線で新大阪まででて、そのあと近鉄特急に乗り換えて2時間半。駅まで迎えにきていただいて、そこから車でさらに30分。
 考えてみたら、新幹線沿線からここまで離れるのって、久しぶり…。いえ、帰国して初めてかも知れません。

 急に暖かくなって、海も凪いでいるときにお邪魔できて、ラッキーでした。
実習所の前から。海水が透き通ってきれいです。
 英虞湾といえば真珠養殖。海岸線が入り組んで、島も多い地形なので、海水が囲い込まれた形になっており、赤潮が発生すると被害も甚大なのだそうで、地元の養殖関係者の赤潮モニタリングに対する関心派非常に強いのだそうです。
湾には、三重県が所有する自動計測ポイントが↓。
湾内の、水深10メートル程度のところに浮かんでいる筏に搭載されています。

この写真だと分かりにくいのですが、筒型に組んだ金属製の枠のようなものの中に各種センサーが搭載してあり、これが1時間に1度、自動的におろされて、海水の温度・塩濃度・海水中の植物プランクトン総量・その他諸々の計測をしてくれるというもの。データは近くの研究所に送られて、営々と蓄積されているのだそうです。そういう観測データと結びつけた研究ができたらいいな、と思案中…。

 訪問したのは、海洋性プランクトンの生態系における振る舞いを研究しているグループなのですが、学生さん二人の息のあったサンプリングぶりが印象的。うちお一人は、修士課程を修了して、この4月から就職とのこと。『卒業旅行にきました』、とのことです。確かに、きれいな海と、船に乗ってのサンプリングと、アットホームな宿泊所つき実習所って、この先なかなかできない経験かも…。就職してから懐かしく思い出す一こまになるのでしょうね。

 今年の夏は、是非、ヘテロシグマ赤潮発生中の過程をつぶさに追うような研究をしてみたいとおもっているのですが、サンプリングの手間をみても、行き当たりばったりにできるような研究ではないな、と、実地に見たいろいろを頭に入れて計画を立てようと思いました。

 

 
 

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