2019年10月25日金曜日

心配ごと

 日本ではあまり報道されていませんが、いま、チリが揺れています。

ことは、先週半ばあたりに、以前から検討されていた、チリの首都サンティアゴの地下鉄運賃が、ほんの数%上がったこと。
 あるニュースソースによると、片道日本円で4.6円程度の値上げだそうです。

 ところが、この程度の値上げが、実はチリ国民のうち結構な割合を占める低所得者層には相当の打撃だそうで。この値上げに抗議する形で、大規模無賃乗車が呼びかけられ、そこに端を発して、デモがあれてスーパーマーケット打ちこわしや、道でものを燃やすなどが頻発し、サンティアゴに非常事態宣言がおりました。

 あれから1週間。この動きはチリ全土に飛び火し、私がいつもお世話になっているオソルノ市にも、プロジェクトで結びつきの深いアントファガスタ・テムコ・プエルトモン市のいずれもが非常事態宣言&夜間外出禁止が。

 まさに、燎原の火の勢い。
 
 いつもの穏やかな、時に笑いを誘われるようなのどかさのある土地ですが、今は様相が変わっています。
 大学も閉鎖、サンプリングも中止してもらっています。
 日本から着任している研究員達は皆無事。とはいえ、やはり不安を感じながらの生活を思うと胸が痛い。
 
 このブログは、大学のサイトからぶら下がってるため、あまり政治的なことを書き込む場ではないのですが。
 なぜ、こうなったかというと、社会にある大きな所得格差と、富めるものが利益をあげやすいような社会にシステムに、人々がとうとう耐える気をなくした、ということでしょうか。ある場所で見つけた数字によると、チリの最低所得者層5%の年収は、モンゴルの同じ層とほぼ同じ、一方、チリの最富裕者層2%の年収は、ドイツのそれと同じ、だそうです。
 また、チリの最低賃金は、現在一月301,000チリペソ、現在、一円だいたい6.7ペソ、と考えると、一月5万円未満ということになります。
 チリのスーパーマーケットに行って、生鮮食料品の値段を見ると、だいたい、日本の1割〜2割引き、という感じ。そう、チリは物価は安くない。衣料品や家庭用品などは、ほぼ日本の安売りめなお店と同じです(100円ショップなどに限れば日本の方が絶対お買い得)。
 普通の家庭人は、スーパーではなくて、昔ながらの市場で買い物をするわけですが、こういうところではもっと安いけれど、しかし、日本の物価の3分の1よりは高いぐらいでしょうか。ちなみに、大学の一月の授業料は250,000チリペソだそう(公的扶助があるので、この部分はかなり抑えられるそうですが)。

 片道五円弱の値上げでなんで??と思ったのですが、それはすなわち、1日10円程度の値上げが耐えられない家計を営んでいる人たちがそれだけいるということ。
 日本語に限定するとなかなかニュースが入ってこないので、世界のあちこちの新聞サイトを拾い読みして、情報収拾に勤めています。

 

 
 
 
 

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