2015年5月29日金曜日

班会議出席

 今週始めは、湯河原で開催された新学術領域研究『ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤』の領域班会議に出席して参りました。
 ヘテロシグマのウイルスについての研究が、3年前に発足したこの領域のコンセプトにぴったりだと思ったので、去年の11月に応募。今年の4月から、公募班としてこの新領域研究に参加できることになったからです。

 そもそも、ヘテロシグマのウイルスの研究をするための研究費をとろうと思うと…さて、どのようなカテゴリー(科研費用語で云えば『分野』『細目』)に応募するべきか、そこから悩むのです。いわばウイルス学は、医学系の分野に入っているのですが、私が研究したいのは、藻類のウイルス。うう〜〜ん、医学系の審査員に見ていただいて採択してもらえるだけの得点を入れるのは、やはり無理がある。

 というわけで、分野細目は関係なく、『ウイルス』という言葉でくくられた新領域がたてられているのを見て小躍りした訳ですが、申請書を書きながら、研究費と同じぐらい強く希望していたのが、この『領域班会議』に出席することでした。

 水圏ウイルス学というのは、かなり新しい分野で、メタゲノム解析的なアプローチが多い。水環境には、『沢山ウイルスがいる』『いろんなウイルスがいる』ということで話が盛り上がっています。それ自体が大きな発見で、非常に興味深いのですが、私はやはり細胞生物学的な視点での研究がしたいし、そういう仕事をしている人に興味を持ってほしい。
 結果を出して、それを持って学会等に参加したり、論文を投稿したりというのが王道です。しかし、たとえ学会で発表させていただけても、それぞれのトークやポスターにはそもそも興味を持ってくれる人たちしか聞きに来てくれません。いわゆるウイルス学の中でも、細胞生物学的研究が進んでいるのは、やはりヒトに感染するウイルスの分野。正攻法で、ウイルス学会の感染機構等のセクションで発表しようと『赤潮原因藻ヘテロシグマに感染するウイルスであるHeterosigma akashiwo virusは……』などと要旨を書いたとしたら。ヒトを宿主とするウイルスを研究していらっしゃる方々の多くには、その先を読んでいただけず、ぱらりとページをめくられてしまいそうです。ポスターセッションなんて、私のポスターの前『だけ』素通りされそう…。

 そういう意味で、この班会議は素晴らしい。この分野の一線で活躍されている方達がメインメンバーで、一つの会場にカンヅメ。発表する人数も限られています。そもそも同じ研究領域に属するという前もって作られた紐帯がある方々に、こちらの話を聞いていただける稀な機会をいただけた訳です。ここで、『あ、それ、面白いかも』と思っていただければ、それがいわばプライマーとなって、これからも私たちの研究、というよりも、この分野の研究に多少の興味を持っていただける可能性が高い、はず。
というわけで、張り切って行って参りました。

 出席した感想は…とにかく、他のグループのレベルがむちゃくちゃ高い。
 『よくも私の申請書などが採択していただけた…』と、神妙な気持ちになりました。
 エイズウイルス・インフルエンザウイルス・エボラウイルス・ヘルペスウイルスと、病原性があるウイルスは、その必要性もあって研究が進んでいます。これまでに積み重なってきた知見の上に、さらに他のグループとの競争に常にさらされながら実績を出しているグループばかりが集まった会で、私の発表は、『これからこんなことやりたいです!』という展望100%でできたものにすぎず、正直言って、冷や汗たらり。

 次の班会議は12月半ば。しっかり結果を持っていけるように、精進いたします。

 という本業とは別に驚いたこと。
 なんと、会場で、中学校と高校の同級生と遭遇!同窓生の噂を聞くと、研究する人生を選んでいる人もある程度はいるとはいえ、彼女がその一人とは全く知らなかったのです。さらに、女性で大学だの国公立研究所で研究職について長くやっている人って、やはり珍しい。びっくりして嬉しくて、涙目になってしまいました。というわけで、古い友人の手前もあるし、頑張ろうっと♪


 



0 件のコメント:

コメントを投稿