2014年10月31日金曜日

@International Conference of Harmful Algae

 訳してみたら、『国際有害藻類学会』でしょうか。

 いってきました、ウェリントン・ニュージーランド。月曜日朝から金曜日夕方まで、5日間ぎっちりと世界のあちこちで問題を起こしている有害な藻に関する学会です。
 約400人の参加者が会した学会でした。大きい会のように感じましたが、実はもっと大きかったことも有るということで、今回は南半球での開催ということで出席を見合わせた人も結構いるようです。

 確かに、北米東海岸や、欧州からは、オセアニアって、本当に遠い。シドニーならばまだしも、さらにそこからもうひと飛びしなければならないとなると、出席が苦しい人もたくさんいたかもしれませんね。

 赤潮・青潮は、浅海域・淡水湖が有るところでは、あまねく大きな問題なようです。
という、この学会に昔から所属する人からは失笑を買いそうな初歩的なことも、私にとっては耳新しかったりします。この学会で、一番多くの参加者を引きつけているのは毒性物質とその合成に関与する遺伝子に関するトピックでしょうか。赤潮・青潮の多くは、魚介類に毒性がある物質を生産したり、あるいは赤潮・青潮由来の魚介類に蓄積された物質を人間が摂取することで健康被害が出たりすることで『害藻』と認識されている訳です。となると、やはりこれらが『花形トピック』となりますね。

 さて、この学会に参加したのは、自分の発表をするため、にくわえて、『この分野の研究者の顔を見に行くため』。
 とくに、例えば発表に対する質問の仕方などで、その研究者がどんな方なのか?というのが何となくにじみ出たりします。たとえば、論文を発表したいときに、査読者としてお願いしたい人(避けたい人)を選ぶ段に、そういう情報があるというのはなんとなく心強いんですよね。
 世界がいくらインターネットで結ばれても、やっぱり本当にその場にいかないとわかりにくいことって、あるものです。

 そして、今回はこの分野のものとしては私に取っては初めて参加する学会だったので、まずは、他の日本人の参加者とお近づきになりたいともおもっていました。発表以外の、これら『隠された目的』もおかげさまで達成できている気がします。

 なんて鷹揚なことを言っていますが、今回の私の発表は最終日。この記事がアップされて数時間後に順番が回ってきます。もうちょっと、発表練習しようっと(笑。


会議場前の港から見える風景。海沿いの待ちながら、山地と呼ぶには
低く、丘陵地と呼ぶには険しい地形に囲まれています。風が強く天気が変わ
やすいのに驚きましたが、晴れたときには本当にすてきです。
学会会場前に飾られていたオブジェ。シダの
透かし模様が繊細できれい。ニュージーラン
ド人の美的感覚って、日本人の好みにとても近
い気がしました。

2014年10月24日金曜日

石の上にも3年

 来週から、ニュージーランドで開催される国際学会に出席して参ります。
 自分と同年代の研究者仲間を見ていると、みな、1年に2回は国際学会で発表し、国内の学会は、人によっては5つぐらい回る、というのが普通に見えますが、私は、いわゆる国際学会は3年ぶり。
 3年前、急ハンドル切って研究のトピックをヘテロシグマに替えてから、発表できる状態に持ってくるのに、これだけ時間がかかった訳です。

 とはいえ、まさに五里霧中な状態から、あれもやりたいこれもやりたい人手が足りない研究費も欲しい、という状態にまで来れたのは、とても嬉しい、ありがたいことです。
 ヘテロシグマの研究をする!と言い出したころには、周りの反応は『???』というものでしたが、最近興味を持ってくれる方も増えてきて、そういう人たちとのおしゃべりから、さらにネットワークが広がって……。と、とてもいい感じ。

 何にも無かったラボ開設一日目から3年経ったんだもんね、と思う機会が増えている訳ですが、考えてみれば、これぞまさに『石の上にも3年』ということなのかもしれません。
 昔の人は、やっぱり賢い(笑)。

 というわけで、8泊9日の旅にいってまいります。
 実は、学会大好き、国際学会はもっとすき、なので、嬉しくて仕方がありません。
 ただ今、旅支度…発表準備、荷物の準備、いない間にHさんにお願いする仕事の打ち合わせ、帰ってきてからの準備に、行く前に終わらせなければならない実験に書類仕事の数々に…と駆け回っております。飛行機に乗ったら、どっときそうですね(笑。
 


 

2014年10月17日金曜日

台風一過

 ずいぶんよく降った3連休でしたね。
岡山県、特に岡山南部は、『晴れの国』を自称していますが、確かに雨の日が少ない(今年の夏は、例外的に多かったですが)。加えて、中国山地と四国山地に挟まれた地形のせいか、台風がそれる傾向にあるのですが、今回は、ちゃんと直撃してくれました。

 3年ほど前にオープンした倉敷駅前のアウトレットモールが、台風の影響でなんと、休日午後2時で閉店。とはいえ、万全の構え(?)のおかげでか、県下での被害は少なく済んだようです。

 さて、個人的に、旅が多い今年の秋。
 まず、宮崎大学にBootcampにお邪魔したのを皮切りに、九大農学部に共同研究者からご紹介いただいて特別講義を聴講にお邪魔し、これもしっかり勉強させていただきました。
 今週末は、将来の共同研究を夢見て勉強会に出席、そして、来週末からは、ヘテロシグマについての私たちにとっては初の発表をしに学会@ニュージーランド。
 仕事が立ち上がってくるのと同期して、他大学の研究者との交流も増えてきて、とても健全な感じがしています。

 あっちに行ったりこっちに行ったり、加えてこの秋は研究所の100周年があり、それとは別件で研究所の国際交流イベントあり、バックグラウンドでは、恒例の科研費シーズン、と、なんだか落ち着きませんが、実験もしたい。

 特に、科研費を書いていると、あんなことやりたい、こんなことおもしろそう、と、夢が広がって、ついつい、将来の仕事のはずをいまから着手したりしてしまいます。本末転倒な気もしますが、アカデミアの研究って、楽しい、面白いが言動力よね?をいいわけに、とりあえず今月末の海外出張までにできるだけのことを終わらせようと動きまわっている毎日です。

2014年10月10日金曜日

100周年!

 先週は、当所にとって大変大きな行事がありました。
 研究所創立100周年記念行事です。
 何と、倉敷駅にも記念式典の広告が出現しました!

 当研究所は100年前、大原美術館の創立などで知られる大原孫三郎氏に『大原農業研究所』として設立されました。時代の変遷とともに、1952年に岡山大学に移管され、その後幾度かの改組をへて現在に至るのです(詳しいことは、当所の公式ホームページをご覧ください。)

 広い圃場を町中にどおん!持てているのは、実は、この長い歴史のおかげなのですね。

 というわけで、この研究所の100回目の誕生日を祝うために、記念式典+シンポジウムを開催しました。担当者は、既に去年度から着々と準備を進めて、その本番が先週10月2・3日だったわけです。
 大変好都合なことに、当所の前には、倉敷市の公民館のひとつ、『芸文館』があります。こちらのホールを2日間借り切って、研究所の沿革についてのお話から、今後の農学のありかたについて、まさに過去から未来まで、いろいろな講演を聴講するよい機会でもありました。
 多くの来賓の方々を始め、当研究所のOBも集まってくださり、よい会となりました。

 夕方は、100周年祝賀会が催されたのですが、このときに出されたのが、当所の圃場で栽培された大麦を原料として醸造された発泡酒(←法的区分としてはこうなるのですが、実際はビールに香りをつけた飲み物、といったところでしょうか)!実は岡山大学の近くにある醸造所にお願いして作っていただいたものです。
 そして、お土産は、やはり研究所で栽培された大麦を原料にした焼き菓子。
 自分の職場のことながら、すてきな趣向だと思いました。

 この夏あたりから、『100周年記念行事』は、研究所の大きな行事として皆が少しずつ分担して取り組んできたのですが、終わってしまうと、なんだか寂しいような気もします。
 なんといっても、1世紀に一度しか経験できないこと、なのですよね。かなり非日常な2日間でした。

 というわけで、今週から、なんだかとっても、『Back to normal』気分でいます。さ、実験しよう……。

 
 

2014年10月3日金曜日

ミトコンドリアだらけ

こまったな。

と、思案中。

以前、葉緑体のゲノム配列を読んでいただくために、葉緑体をたくさん精製した話をしました。ここから精製した葉緑体ゲノムを次世代シーケンスで解読していただいたのですが、いくつか技術的にむずかしいところがありまして。
 解読していただいたデータを解析してみたら、葉緑体ゲノムは解読できなかったのに、ミトコンドリアゲノムがしっかり読めていたりしました。

 つまり、葉緑体を精製したハズの画分に、結構な割合でミトコンドリアが混入していた訳です。

 やれやれ。

 と、解析を教えていただくためにお尋ねした研究室でお話しして、帰ってきて2週間。

 現在、こちらは外部委託でウイルスゲノムを読んでもらっているのですが、ふとこちらが心配になりました。
 で、試しに、凍結保存してあったウイルスを取り出してきて、希釈したものを鋳型にウイルスに特異的なプライマーセットと、ミトコンドリアゲノムに特異的なプライマーセットを使ってPCR。

 .....両方の反応でばっちりきれいなバンドが!!
 つまり、ウイルス粒子としてとってきた画分の中にミトコンドリアが結構な割合で混じっているということでしょうか。イヤになっちゃうなあ!

 まあ、配列解読をすれば、ミトコンドリアはミトコンドリアとわかるのですが、たくさん混ざり物があると、その分そちらにリードがとられてしまう訳で、ミトコンドリアゲノムの10倍以上の大きさがあるウイルスゲノムがきちんとつながらなかったりして…。

 ま、こちらは、結果が帰ってくるまでどうしようもないのですが、外にも考えている実験があり、そちらにも混ざり物は欲しくない。ミトコンドリアをどうして除くか……しばらく思案投げ首です。