2013年11月22日金曜日

秋の終わり

 11月、といえば、オオムギの研究をしているグループにとっては播種の季節。

 11月第三週いっぱい、オオムギグループが種まきをしているのが窓から見えました。
 どんどん寒くなっていくなか、皆さん寒さ&UV対策ばっちりで、朝から午後遅くまで畑仕事。
 種まき、といっても、一種類の栽培品種を一面にまくのではなく、数千?種類異なる系統の種を小さく区切った区画にまいて、系統保存のための種を取るのが目的です。当研究所には、日本だけでなく世界各地から収集してきたオオムギのありとあらゆる品種・・・・作物として栽培されているものも、品種改良される前の『原種』に近いものも・・・・・が系統的に保存されています。植物の種というのは、充分乾燥させたのちに適切な低温条件で長く保存できるのですが、しかし永久保存というわけにはいかない。何年に一度か、保存してあった種をまいて栽培して、そこからとった新鮮な種をもう一度乾燥させて保存する・・・・・というプロセスが系統保存には不可欠なのだそうです。

 という作業を横目に、私たちは、相変わらず室内でヘテロシグマ相手に実験しています。
 私がここ数週間で必要なのは、まず、ヘテロシグマから抽出・精製したゲノムまとまった量のDNA。これは、例のフルゲノムを読んでいただくもの。
 一度にがさっと抽出できるのを夢見て、いろいろな手を試みてきたのですが、結局、高価なキットを買ってつかうよりも、当初からもちいていた、手作り試薬を組み合わせた抽出方法が一番、というのがわかってきました。
 というわけで、たぶん来週までとりだめすれば、充分量が蓄積できそう。

 そして、以前から懸案だった、ヘテロシグマに感染するウイルスのゲノム配列も読んでしまいたい。このためには、ヘテロシグマを大量に育てて、ウイルスを感染させ、適切なステージでウイルスを細胞内で増殖させたヘテロシグマを回収し、そこからウイルスを取ってきて、ウイルスのキャプシドをきれいに外してゲノムを回収する・・・というプロセスが必要です。ヘテロシグマのウイルスのうちでも、私が研究しているHeterosigma akashiwo virusは一つのヘテロシグマ細胞あたり増殖させるウイルスの数が小さいのが特徴です。勢い、大量の細胞からウイルスを回収する必要があるので、ヘテロシグマを育ててはウイルスに感染させ、育てては感染させ・・・・の繰り返しです。

 一方で、Hさんは『赤潮発生の謎』に挑んでいます。この詳しい内容はまだヒミツ。きっちりと証明できたらとっても面白い話になると思うのですが、実際の毎日の研究はとても地道な実験の繰り返しです。

 寒がりな私たち二人にとっては、室内でできる研究でよかったね、などと言いながら、毎日圃場を眺めていました。オオムギチームのみなさま、お疲れ様でした!

 

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