今週は、とても実験屋らしい一週間でした。
ウイルスの粒子を精製しようと知恵を絞る毎日。
以前、ヘテロシグマに感染したウイルスを濃縮しよう!と実験してみて、かなりうまくいって気をよくしていたのですが、たくさん取れてはいるが、どうも純度が低い。
今回の実験は、なるべくウイルス粒子だけをきれいに獲ってこなければならない実験で、収率を犠牲にしても純度は上げたい・・・となると、前に使った実験方法を少し変えなければなりません。
ヘテロシグマをウイルスに感染させると、最終的にはヘテロシグマは殺藻されて、溶けてなくなり、ウイルス粒子だけが海水中に飛び出していくのですが、この、海水中のウイルスを回収するのは至難の業。
そこで、感染して、ウイルスはヘテロシグマの中で増えてはいるけれど、まだヘテロシグマが生きていて、ウイルスもヘテロシグマ細胞内にとどまっている状態からウイルスを取ってくることに。
ウイルス粒子を宿主細胞から精製する手法は、数限りなく知られていますが、それぞれが、あるウイルスを精製するために最適化されています。で、これらを参考に、これまで精製も濃縮もされたことがないヘテロシグマのウイルスを精製しようとすると・・・・・。微妙にうまくいかない。
「純度が高いウイルス粒子を取ってきたい」ということは、つまり、「ウイルス画分に混ざりがちな、関係のない物質=ヘテロシグマ細胞を壊した時のくずを除きたい」ということ。ウイルスを持った細胞を壊すときの条件を、細胞はきれいに壊れるけれどウイルス粒子は無事、というぎりぎりの線をみつけて、その状態からウイルス粒子だけを集めてくればいい・・・はず。
と、考えて、ウイルス入りヘテロシグマ細胞を壊すための条件をふってみている間に1週間が終わりました。
私は、博士課程に在籍している間は、タンパク質の精製や、そのタンパク質が培養細胞に与える影響を調べる仕事をしていて、そのあと植物細胞生物学に移行したのですが、今回のウイルス精製は、学生時代のタンパク質精製実験の経験が役に立っています。ほんとうに、なんでも経験しておくものです。
こうやってきれいに精製したウイルスは、ゆくゆくは大量に集めて、ウイルスの外殻を作っているキャプシドタンパク質を取り除いて、ウイルスゲノムだけにしたものを用いてウイルスの塩基配列を読みたいとおもっています。綺麗にとるためには、どこを改善すればよいのか見当もついてきたので、気長に条件を詰めてみます。
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