前週に続いて、理系キャリアあれこれ、です。前半はこちら。
今週は、③留学について。
留学してみたいと思いますか?という問いに対して多かった答えが、「してみたいけど、経済的に無理」「研究を始めた今、留学は考えていない」というものでした。
修士1年の学生さんたちが、留学、ときくと、思い浮かぶのは、「語学留学」なんですね。
そもそもの、「留学」という表現に誤解の下があるようです。留『学』なのだから、学費は払うよね=経済力要りそうだなぁ、でも、研究は日本でも学べるし、という感じでしょうか。
博士を取った人間が、留学=海外に行く、というと、海外に行ってポスドク=Postdoctoral fellowとして給料をもらって『働く』、というのが普通です。つまり、博士という学位で自分の能力の証明し、それ以降の武者修行を海外でしよう、というのが、博士号を持つ人間の留学。
高給取りとは決して言えませんが、お給料は、もらえるんです。(先週話に出た、「日本学術振興会」に、渡航費及び海外で滞在するための費用+研究活動費をサポートする「海外特別研究員制度」というものもあります。これだと、受け入れ先研究者にお給料の心配をかけないので、受け入れる側も大喜びだったりします。)
そして、留学期間中、身につけたい一番の力は、語学力ではなくて、研究する力。並行して、『実績を上げる』=発表論文数を増やす、というのも大きな目標の一つです。
語学力ももちろん付きますが、重きを置くのはそこじゃない、ということですね。
留学先としてポピュラーなのは、やはりコトバが一番なじみがある英語圏の国でしょう。科学に携わる者の、仕事で使う言語は、主に英語です。論文読むのも書くのも英語。国際学会で発表するのも、当然英語。というわけで、研究して実績を上げるついでに英語の力もつけたい、とおもえば、理にかなった選択といえます。研究をしに留学する、ということは、研究環境がととのっていて、投下される資金も大きいところに行きたい。となると、やはり米国に留学する研究者が一番多いのもうなずけます。
それ以外ならば他のヨーロッパ諸国・・・・とくに、いわゆる西欧・・・・・・に留学する人が多いと思います。
昔々は、留学すると『箔が付く』とされていましたが、最近は、留学する人間があまりに多いのでそういう感じはなくなってきました。むしろ、一度海外に出てしまい、帰ってきたいのに仕事の口が見つからない、という話も聞きます。
日本人のほとんどが、ゆくゆくは日本に帰りたい、と思いがち、というところがあり、そういう意味では、留学によって就職活動の際の『地の利』を失う、というデメリットがあるのも確かです。
とはいえ、研究者の多くが留学経験を持ち、行ってよかった、と思っているようです。で、よかった理由として多いのは、よき指導者との出会い、そして、設備・体制などの理由で研究がしやすかったから、というのが一般的なのではないかとおもいます。
(留学については、そのうち私個人の経験と見解を書かせていただこうと思います。)
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などなどが、『先進コース 理系研究者のキャリアとは』の主なものでした。
もっと砕けた話題として、大学教官(=お給料あんまり高くない、研究ばっかりしている、というイメージがあるから)になんかなっちゃったら、結婚したり家庭もったりできるんだろうか?という疑問が学生さんからよく出るのだそうですが、これに対する一番良い答は『当日講師として出席した方のほとんどはご家庭もち』という事実でしょうか。
というわけで、これは個人のこころがけと努力次第、という感じですね♪
また、この仕事につかなかったら他にどんな仕事につきたかった?という質問があったのですが、これに対してのお答はまちまち。
ずっと研究者になりたかった、という人もいれば、う~~ん、なんだったかな、という人もいたなかで、印象的だったお答えは、「刀鍛冶」。
これ、わかるような気がしました。自分の世界にどっぷり入ってなにかを究める、っていう印象。こういう人は、骨の髄から研究に向いているんだろうな、というのが、私の感想です。(とはいえ、ご本人は、本職の刀鍛冶のお話をうかがって、あんまりに大変そうだからやめた、とおっしゃっていました。たしかに、現実離れした職業ではありますよね。)
ちなみに、私自身の答えは、「・・・う~~ん、手を動かすのと文章書くことが仕事の中に入っている職種がいいなぁ、とおもったら、こうなった・・・・」です。もう少し格好いいことが言えないのがザンネン、です。
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