今週は、赤潮で赤くなった海の水が、なぜ青く戻るか。つまり、なぜ赤潮が消滅するか?について。
海が茶褐色に見えるほど増えて赤潮になってしまうヘテロシグマですが、その消滅も早く、数日で、海水が普通の色に戻るのだそうです。
この仕事に手を付けるまでは、増えすぎたプランクトンが、海水の中の栄養を使い切って、それ以上生存できなくて死んで溶けてしまうのだろうと、漠然と想像していました。
ところが、実は赤潮消滅の主原因はウイルス感染なのです。
海水中のヘテロシグマの数がなぜだかぐんと増えて赤潮になるわけですが、まるでそれを追いかけるように、海水中にいるヘテロシグマに感染するウイルスの数もぐん、とふえるのです。このウイルスは、ヘテロシグマに感染すると、ヘテロシグマを殺してしまうことが知られてきました。このウイルスの数は、ヘテロシグマの数がピークに達するのに遅れること数日、やはりピークに達します。で、感染が進み、ヘテロシグマを殺藻して、赤かったヘテロシグマは海水に溶けて・・・・・海は青く戻るというわけなのです。これ、日本の研究グループが明らかにしたことなんですよ。
ヘテロシグマを殺してくれるウイルス。
赤潮嫌いの人間にとっては助けてくれる存在ですが、これらのウイルスは、宿主であるヘテロシグマを殺してしまうと、自分は海水の中にほおりだされます。で、一度海水中に解放されてしまったウイルスは、実はそれほど長いこと感染性を保っていられるわけではないのだそうです。
せいぜい4~5日間は、再びヘテロシグマに出会えば、もう一度感染することができるのですが、それ以上は無理。
となると、疑問が浮かびます。
今年最後の赤潮を見事せん滅したウイルスたちは、どうやって来年の夏、もう一度あらわれるのでしょう?
考えてみたら、疑問ですよね。
実は、ウイルスは海底の泥に混じっている間は安定だ、とか、ひょっとしたら、これまでに知られていない生物に感染することができて、その体内にじっと潜んで冬を越すんだ、とかいう説はあるのですが、誰も証明した人がいない。
・・・・・・なのですが、ウイルスの冬季サバイバル法の謎を解く手がかりのひとつを、私たち、最近見つけたようです。
というわけで、赤潮の発生と消滅の謎を合わせて解く日は近い? ←大きく出てみました。
この研究室を立ち上げて2年。ヘテロシグマという新しい生物を使い始めて、薄暗がりで手探り状態だったのが、ここ3週間ぐらいで急に焦点が定まってまいりました。
そろそろ、こうこなくては。
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