2018年9月28日金曜日

やっと会えた・・・♡

 なんだ?と思われてしまいそうなタイトルですね。でも、本当にそんな気分だったんです♡

 このブログで、ヘテロシグマのことを書いてきたにも関わらず、ヘテロシグマの顕微鏡写真を載せたことがなかったと思います。
 いえ、数枚は持っているのですが、これが貴重で、将来論文などに使いたい時のために手元にとっておきたくて、なかなかここに載せることができなかったのです。

 なぜかというと、ヘテロシグマの綺麗な写真を、特に高倍率で撮るのが難しかったため。
 ヘテロシグマは泳ぎます。ふるふる泳ぎ廻り、ひとところに止まっていてくれません。
 また、ジャガイモのメークインみたいな格好をしているのですが、ひどく柔らかく、顕微鏡観察しようとして、スライドグラスとカバーグラスで挟むとプシュッとはじけて粉々に・・・・。
 では、と化学的に固定しようとすると、今度は形が変わってしまいます。それに、化学固定すると死んでしまう。モデル生物では、今時リアルタイムイメージングなんて全くの常識なのに、ヘテロシグマではそれができない。研究題材としては、ちょっとそれって、、、、、。

 まあ、いまだにヘテロシグマに遺伝子を導入する方法を確立できていないため、例えば蛍光タンパク質で、ヘテロシグマの機能性タンパク質をラベルして、その移動を追う、なんていうことは夢のまた夢。リアルタイムイメージング、今の所必要ない、といえばないんです。
 とはいえ、目で見えるって、大切だし、別にGFPラベルしなくたって、ありのままのヘテロシグマを、ジロジロ眺めてみたいではないですか。
 と思ってはいたのですが、他のことにかまけてpendingになっておりました。

 しか〜〜し。前から欲しいと思っていた、手軽に観察できる蛍光顕微鏡が、キャンペーンに乗って半額でgetできることを知り、道具が手に入るとなると、やっぱりヘテロシグマをじろじろ眺めたい、何は無くとも、今すぐに!という気分が盛り上がりました。
 で、ふと小技を思いつき、スライドグラスとカバーグラスの間隔を狭く固定して、その間にヘテロシグマを挟んで、物理的に泳いで逃げられないようにしてみました。
 で、撮って見た写真がこちら。この子は、ちょっと変則的な形をしています。ちょっと歪んだハート形?
 










 単なる明視野写真(上)とRFPチャンネルでの自家蛍光写真(下)。でもでも、こんなにアップで生きているヘテロシグマと対峙できるのは初めてなのです!
 んもう、「とうとう会えたね・・・・♡」な気持ち。
 というわけで、こんなタイトルになったわけです。



 残念ながら、この顕微鏡では動画は撮れないのですが、目で見ていると、動けないながらに、ヘテロシグマが、じたばたじたばた・・・・と、鞭毛を振り回しているのが見えます。将来的に、遺伝子導入できるようになったら、鞭毛の構成タンパク質をGFPラベルて、暗い中でヘテロシグマがじたばたじたばた・・・と振り回す鞭毛を緑色に光らせて見たりして。んで、できたら共通機器のグレードの高い顕微鏡で、動画撮って、泳ぐ時の鞭毛の使い方を解析しちゃったり。
 ミトコンドリアタンパク質だの、細胞骨格だののタンパク質を蛍光タンパク質でラベルして、3D細胞内小器官塗り絵とかしちゃったり。
 モデル生物では全くもって常識レベルの技術ながら、ヘテロシグマではやった人はいないわけで。
 やむにやまれず、な気分になり、x100の対物レンズ購入も決定。私たちにしては一挙に結構な散財なのですが、しかし、目で見えるってスゴイ、と、今更ながらの衝撃。
 頭の中では、そういうことができたらいいね、ぐらいにずっと描いていたことなのですが、実際に自分の目で、この解像度で、生きている、ありのままのヘテロシグマを自分のラボで思いついた時に見ることができる、という、たったそれだけのことで、いきなりあれこれモティベーション急上昇です。

 

  

 

 

2018年9月21日金曜日

南半球での色々とプロジェクトサイト

 そして、またあっという間に一週間。

 今回のチリ行きでは、私たちのグループがお世話になる、チリ側カウンターパート、ロスラゴス大学のガハルド博士のラボにお邪魔して、導入する機材はこれからの研究計画などをじっくり話し合って参りました。
 今までは、日本側研究者3名とチリ側研究者4名で、いわばグループディスカッションの形で話し合ってきたのですが、一歩進んで、実際の研究でがっちり組む相手とのやり取りに入ったわけです。
 わかっていたつもり、あるいは、伝えていたつもりだったことも、一つ一つ振り返ると色々と漏れがあったりもするもので。今回の打ち合わせは、微に入り細に入り、それでも足りなかったな・・・・と思うところもあり、やはり、アウェイで仕事を立ち上げるというのは一筋縄では行きません。
 とはいえ、このプロジェクトでは、自分のラボにはないような機材もあちらに導入することができるわけで、しっかり共同研究して、結果が出せるように知恵を絞ってきました。

 こちらのグループから、しばらく派遣する研究員も温かく迎えていただき、南半球での赤潮シーズンに向けて助走といったところです。

 ところで。
 そう、チリは南半球。
 今回の旅は、まず、サンティアゴに入り、いくつかの会合を済ませたのですが。
 サンティアゴの街中からは、どおん、とアンデスが見えます。
 天気のよい昼間に、街中を歩きながら、おお、アンデスだ、と感動しながら眺めて、でも気がついてみたら、太陽に向かって歩いている私たちの右手にアンデスが見えるのです。あれ、サンティアゴはアンデスの西側に位置しているのに。
 なんでアンデスが西にあるの?逆じゃない??

 3人連れで、かなり長い間首をひねり、そのうちの一人が、方位磁石を確認して、「‼️」

 そう、南半球では、太陽は北に昇る。南中ではなくて、北中するのですね。
 つまり、太陽に向かって歩いていた私たちは、南に向いているのではなくて、北に向いていたというわけ。アンデスはちゃんと、東にありました。
 
 コペルニクス的転回、とでもいうべきか。今回のチリ行きでも、かなり印象に残ったびっくり&納得でした!

 話は変わりますが、何ヶ月も前から準備しておりましたプロジェクトサイトがとうとう公開されました。お時間がおありの時に、ご覧いただければ嬉しいです🎵

 

 
 

2018年9月18日火曜日

なんと1ヶ月以上開けてしまいました。。。

 大変ご無沙汰しております。
はっとして前回の記事を調べたら、お盆前の8月10日!
ばたばたしていて1ヶ月以上間を開けてしまいました。

 この間、大学のサイエンスカフェがあったり、チリに二週間出張したり。で、おととい帰国しました。
 今回は、研究に着手、、と行きたいところですが、まだ片付けなければならない課題はあり。とはいえ、研究員が持ち場の参画機関に着任したり、購入する備品の最終確認をしたり、いよいよ感が高まっています。
 10月ごろからは、モニタリングも開始する予定。ここまで長かったです。

 ところで、帰国の旅程は、9月13日深夜サンティアゴ発、14日朝NY着、午後に立って次の日羽田着、の予定だったのですが、ここにハリケーン フローレンスが発生。サンティアゴ発の飛行機の航路は、フロリダ半島先端近くから米国の東海岸に沿って北上するのですが、予想されたハリケーンの進路といい、タイミングといい、私たちが乗る飛行機とサウスカロライナのあたりで鉢合わせする見込みになり、帰ってこれるのか気を揉みました。実際には、飛行機の航路が内陸寄りに変更されたため、影響なく帰ってくることができ、ほっ。

 今回のチリ行きに向け、7月ぐらいからなんだかんだとワタワタしていたのですが、とりあえず目の前の仕事は終えたわけで、ちょっと落ち着いて論文書きの実験のに取り組めると思うと嬉しいです。
 次のチリ行きは、12月。ここ数年は、南アメリカ大陸に数ヶ月おきに通うスケジュールになる予定です。