学会出張などでラボを留守がちにしていたのですが、お留守番メンバーより、PCRがうまくいきません!という訴えを受けました。
ある特定の反応をしかけた時だけ、ネガティブコントロールも、ポジティブコントロールも同じようにスメアなバンドが結構強くぼおおおおぉっと出る。この特定の反応をしかけたときだけゴーストバンドが出るのですが、他は全てうまくいく。
遺伝子が増幅されない、というトラブルならば山ほど経験して来たのですが、私自身は、こういうわけのわからないものが増えてくるって、本当に人生初めて。
あ〜〜、これは、世にいうcontamination、コンタミですね、とはわかったのですが、何が汚染されているのか特定できず。
おろしたての酵素だのバッファーでないことはわかり、一安心。
その『特定の反応』に使っているプライマーなんじゃないの?? → 違った
水が悪いような?という話もあり、数日ごとに、共有のMiliQ精製機から取ってくる水を貯めとくタンク何か生えたとか?いやそんな。。。。
→タンクをかなり強烈に洗浄し、新しく水を汲んで来たけれど、効果なし。
あ〜〜あ、その実験のためにだけ使っているキレート樹脂、Chelex100がやられたか?
→これも違いました。
米国ラボでこういうことがあると、『だれかPCRカルマ背負っちゃってない?』などと言いあっていたな、と思い出しました。
う〜〜ん、前世の罪障?日頃の行い??と片付けるわけにはいかない。汚染源特定に2週間かかってしまいました。
効果があったのは、なんとpipetman洗浄&オートクレーブ滅菌。
ラボにあるピペットマンを全て分解してみたところ、一本だけ、内部が盛大に汚れていた。ピペットマンの内部の汚れが、エアロゾルとしてサンプルだの試薬だのを汚染することがある、って聞いたことはあるのですが、これかあぁ?
最近の高温多湿な気候がこんなところで効いてくる、なんていうことあるでしょうか?内部で何かが増殖して、それをエアロゾルとして撒いていたのでは、というような勢いでした orz。
自ラボで起こるには非常に本当にお恥ずかしい経験でしたが、一方で、ラボ内のピペットマン、半年に一度ぐらいは、丁寧に分解洗浄するべきだな、と痛感。
特に、私たちのように、ウイルスも使う、ヘテロシグマ(真核生物)も使う、バクテリアは片っ端から単離スクリーニング、なんていう部屋は、例えばウイルスーヘテロシグマ感染実験をしているところに、バクテリアがちょっとでも入ったりしたら、目も当てられない。
入れないように注意して日々の操作をしているつもりだったのですが、ラボのメンバーが増えれば増えるほど、ピペットマン使用回数は増え、となると、コンタミの機会だって比例して増えるわけで。
酵素だのバッファーだのが汚染されているわけでない(たぶん)のは、不幸中の幸い。
道具の管理は、仕事人の基本だよね、と、大変反省させられました。
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