この企画を動かしていらっしゃる方がお二人、こちらにおいでくださり、企画の目的、これまでの経緯、どんなデザインを思い描いているか、、、、などなど、1時間ほどお話を伺いました。
実は、例の(?)チリプロ、これもやはりSDGsをプロジェクトの目標に据えています。赤潮〜チリプロ、と繋げれば、ちょうど主催者のご希望に合致したお話ができるかな?といったところです。
なんていうお話をした後で、「そうそう」という感じで聞かれたのが、「どうして赤潮の研究を始めたんですか?」
これ、一口でお答えするのは結構難しいご質問です。
そもそも、私はこちらに着任する前は、植物と植物ウイルスの間の相互作用を細胞と分子の視点から解明する、という仕事をしていました。
で、こちらでテニュアトラック(=ひとまず任期付き、審査に通れば終身雇用、通らなければそこで解雇)というポストをいただいた際に、これまでの研究とともに、もう少し新しいことも初めてみようか、と思ったのがきっかけです。
新しいことを初めてみようか、の背後には、独立のポジションをいただき、更地からラボを作る、という条件だったため、設備投資が切実に必要(研究費取れないと研究も始められないし、となると、当然審査は通らない)という事情があったわけですが。
新しいこと、となると、自分のそれまでの研究の流れから、ウイルスと他の生物間の相互作用なら都合が良さそう、また、それまでは多細胞生物である宿主でのウイルス感染過程を研究していたのですが、では単細胞生物を攻めてみようか、となり、着任先は植物に特化した研究所なので、単細胞+植物、で、藻類かな。そうそう、岡山は瀬戸内海に面してますが、赤潮って藻類だよね?virus+algaeその他色々なキーワードで文献を検索してみたら、え?赤潮が消滅するって、ウイルス感染なの?という研究に突き当たったわけです。
というわけで、伝手を頼ってヘテロシグマに行き着き、以後、ヘテロシグマを中心に据えて赤潮の研究をするに至った、というわけです。
着任する前は、米国にいて、あちらでラボを持ちたいと切実に願っていたのが叶わず帰国、で、生物としての赤潮に携わることになったわけですが。「ということは、あちらにそのままいたら、赤潮研究始めることはなかったわけですね?」と問われ、そう、そうなんですよね。あちらにいて、希望通りのポジションをゲットできていれば、(あちらには、まとまったスタートアップ資金を支給する制度があるので)資金難ながらラボをつくる、を経験することはなかったし、それがなければ、多分、赤潮研究始めることはなかったし、紆余曲折の果てにはチリにご縁ができたりも、多分しなかったでしょう。今、私の居室机の左手には世界地図が貼ってあるのですが、これは、これから研究をしている限り追ってみたいテーマについて考えるために貼ったもの。あちらに落ち着いたら、世界地図を眺めながら夢をみる、なんていう生物学の研究に関わることもなかっただろうな。。。チリでのプロジェクト=研究を通した国際協力・貢献なんていうものに、一隅基礎研究者の自分が関わる日が来るとも思っていなかったし。
なんていうことをお話ししながら、人生わかりませんね、と、地味にぼーぜんとしました。考えてみれば、サイエンス・カフェの対象者は、特に高校生〜大学生といった、今後のキャリアについて考える人たち。案外この辺の話の方が興味を持ってもらえたりして、などとおもったりもします
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