2018年4月27日金曜日

GW!

 気づけば、チリプロでのラボメイトが増えて1ヶ月。
 何と言ってもありがたい、というか、ほとんど驚きなのが、
 『申請書を書いているうちに、研究が進んでいる』こと。
 今までは、一緒に働いてきた方々には、研究そのもの、というよりも、補助業務をお願いしていました。申請書を書いている間に、洗い物だの、株の継代だのを進めてもらっていたわけですが、作業ならぬ『研究』が進んでいるというのは、一味違う感があります。

 忘れっぽいのか順応力があるのか、1ヶ月前には『ぼっちラボ』(←同僚の表現です)だったのが、もう思い出せない気分。朝から晩までおしゃべりとして研究周辺の話ができる、というのは、一気に頭が活性化した気分で、ありがたいものです。

 なんて言っているうちに、一度急激に上がった気温が、ふと冷え込み、季節逆戻りの気分の一週間.....とはいえハッと気づいたら、今週末から大型連休ではありませんか!

 最後の山場にかかっている予算申請書。とにかく連休前半に一度仕上げて、後半は遠ざかって頭をリフレッシュして、連休後に仕上げるつもり。
  去年は、GWと説いてGoing to workと説く、と言われて納得していましたが、今年は、何が何でも(?)お休みをいただきます笑。
 みなさま、良い連休をお過ごしください♬
 
 

2018年4月20日金曜日

真水と塩水

 久しぶりに、切実な話題。研究費の話題です。

 去年から折々にご報告しているチリでの赤潮プロジェクト。これは、いわゆる受託研究費、という分類になる研究費でサポートされています。
 結構細かく使途が決められ、しかも、策定の課程で、Funderから色々とツッコミが入ります。プロジェクトを推進する私たちの希望は案外否定される頻度高し。また、今後の変更にもかなりの審査が必要な様です。

 一方で、文科省からいただく科研費というのは、ルール違反しなければ、かなりの自由度が保証されています。研究の進捗に応じて、ある消耗品・備品・人件費が、もっと必要になったり、はたまた必要が少なくなったり、と言う変化は日常茶飯事。そう言う研究開始時には予見できなかった需要の変化にも柔軟に対応可、なところが素晴らしい。

 チリプロジェクト(今後しばらくは私的に略してチリプロ)、地球のほとんど真裏に行って、赤潮頻発海域に張り付いてその趨勢を生物学的にモニタリングし続けると言う、このフィールドの研究者にとっては夢に近い計画を含んでいます。
 このプロジェクト、たぶん新たな研究ネタがザクザク出てくる。
 思わぬ副産物も予想される。
 思わぬ発見、あるいは、数年後の漠然とした夢として描いていた研究が急に展開する可能性など、考え始めると、思わず口元が緩んで眼が宙を彷徨ってしまうような、そう言う可能性を含んだプロジェクト。

 なのですが、そう言う可能性を少しでも掘り下げよう、と言う展開は許されにくい予算でもあります。
 科研費だったら、当初の計画を多少変更して、科学的に意義深く興味深いポイントを掘り下げたりできるけど、受託研究費ではそうはいかない感じ。
 ここ1年間の手続きの連続で、見にしみました。

 この様な受託研究費を、塩水に例える人がいます。
 大型研究費をとって大喜び、しかし、これを使って研究を推進しようと思うと、実は色々と無理が出る。そこをなんとかカバーしようとして、別の受託研究費を申請・採択される。しかし受託研究費というのは、そもそも融通が効きにくいので、そこをなんとかカバーしようとして。。。。。のループ。
 そう、塩水を飲んだら喉が渇いて塩水を飲み続ける、の云いですね。

 考えて見たら、私がこれまでいただいたことがあるのは、科研費と企業財団からの寄付金。どちらとも、研究の進捗に柔軟に対応してくれるタイプの研究費です。こちらは真水のようなもの。必要なだけ飲めば良い、必要なだけしか欲しくならない。

 まあ、受託研究費を塩水=悪循環をトリガーするもの、というのは、さすがに言い過ぎです。大型で長期間の研究を安定してサポートしてくれる研究費としては、やはり受託研究費の方が一般的なわけで。
 しかし、これまで真水の存在しか知らなかった泡沫研究者としては、この受託研究費の仕組みとは色々驚きなのです。真水ならば泡もたつけど、あんまり塩がきつくなると泡もたたないのよ。。。。違うか

 つまりは、バランスが取れれば良いわけで。チリプロを進めながら、一方で十分量の(多分大量には要らない)真水の補給を計れば良いのでしょう。塩分だってとりすぎなければ必須なわけで、十分真水を補給すれば、より良いはず。

 というわけで、いまの気分は5年前あるいは7年前とほぼ変わらず。
 「必要な研究機器を購入するために、目を血走らせてカネの、いや、研究費の亡者状態、毎朝ラボについて最初の仕事は、コンピューターを立ち上げて、新しい研究助成金募集案内のチェック。いつもいつも研究助成金の申請書を書き続けておりました。
 に落ち着いています。
 いやはや、結局は同じところに戻ってきた。とはいえ、ラボが空っぽだったあの頃に比べれば、相当心強い状態になってきたのは確かです。
 
 
 


2018年4月13日金曜日

大麦とれんげの季節

 この研究所に着任するまでは、考えてみたこともなかったのですが、そろそろ大麦が実る季節です。
 ある朝出勤してみたら、大ムギばたけの上に白い網がかけてあり、そう、大麦が実り始めると、喜んでスズメが群がるので、それを避けるために白いネットをかぶせるのです。こちらで働き始めて七回目の春、すっかり馴染んだ春の風物詩です。
 そして、レンゲもさいています。今年はいつもより早いようですが、再来週あたりには、恒例のレンゲ摘み。周辺の幼稚園・保育園の園児たちが、先生に連れられてレンゲ摘みにやってきます。レンゲ摘み期間の駐車場利用についての注意がメーリングリストで回ってきました。

 さて、新メンバー特任助教のMさん加わって一週間です。
 そのうち、このブログも執筆していただこうかなどとも。
 彼は、博士課程では淡水生態系におけるアオコの振る舞いについて研究していたのですが、チリプロジェクトに参加するために、今年春からうちのグループに着任してくれました。着任して二週間、あっという間に実験も開始して、頼もしい限りです。
 彼の専門は、水圏生態学。
 話していると、細胞分子生物学の私とは非常に違った角度で物を見るのが、すごく新鮮。同時に、ヘテロシグマを扱い始めて大分になるのに、自分のヘテロシグマの生態学についての知識の浅さを、あらためて思い知る気分。
 彼の大学院時代の師匠先生の著書などをいただいて、改めて勉強しようと思います。
 10月には彼はチリに出向くわけですが、彼にも今までとは違ったいろいろを、こちらから吸収してほしいものです。

 それにしても。
 6年前の今頃、ヘテロシグマ株をいただいてきて、なんとか継代しながら、研究を始めながら、しかしラボはまだスカスカ、 クリーンベンチもサーマルサイクラーもなく、隣のラボにお邪魔して使わせていた頃のことをおもいだすと、朝から勢いよく働くラボメイトがいる環境って、嘘みたいです。
 今週は、チリプロジェクトの研究者間打ち合わせで忙しくも楽しい時間を過ごしたのですが、正直それが霞むぐらい、ラボメイトが増えたことによる活性化のインパクトが大きい。
  こんな日が来るとは思わなかった、という一方で、チリプロジェクトを足場に、もう一回りふたまわり、仕事の大きさを育てなければ、という、気持ちがむくむくと起こる週でした。
 
 

2018年4月6日金曜日

新年度始まり

 さて、明けて4月になりました。

 今年度の始まりは、ちょっと特別、変化盛りだくさん。
 まず、グループ編成が変更され、新年度より植物環境微生物学グループという新グループが出来、そちらの構成員となりました。
 研究の題材はそのままヘテロシグマ。もう一人の准教授がグループリーダーで、こちらは、まさに植物環境微生物の研究をしています。
 やっていることは違えど、環境微生物学、という共通項を持っているので、ゆるく繋がりながら仲良くやっていこう、といったところです。
 
 また、萌芽時代から数えて、初の博士研究員が5年の予定で着任しました。
 ここしばらくは、ヘテロシグマ研究はほとんどワンオペ状態だったので、これは画期的なこと、これを機に、ぜひとも研究を加速させたいものです。
 
 その一方で、とうとう本格的に始まったチリプロジェクト。着任した博士研究員は、こちらのプロジェクトに従事することになります。プロジェクト代表期間である京都大学、もう一つの参画機関である中央水産研究にも一人ずつ研究員が着任。来週のプロジェクトキックオフミーティング@倉敷での顔合わせを控え、いや、これでとうとう走り始めるんだな、と感慨深いです。

 新年度、といえば、もうひとつ重要な科研費採択結果発表。う、一つ落とした。。。。のですが、こう色々と変化があると、いつまでも落ち込んだ気分でもいられず、というより、嫌でも引っ張り上げられてしまいます。
 数年前までの、緊張して結果を待ち、それで全てが左右されていた頃から考えると、安定してきたともいえます。振り返ってみると、危ない橋を渡ってきたんだな、という気もして、いやはや、無事に今の状態になれてよかった。笑

 本日は、恒例の新歓BBQ、新しいメンバーと、新しい年度のスタートですね。本年度も元気に行きましょう♪