今週は、数名のゲストが研究所に見えてセミナーをしてくださいました。
そのうちのお一人は、私自身が米国からこちらに帰ってくる直前あたりに一度お目にかかったことがある植物ウイルスの研究者(あちらは多分、お忘れとおもわれる)。
そのころの彼女の研究は、他のウイルス研究者とはちょっと違った発想の研究を、ちょうど始められたあたりでした。
その時のトークは、正直言って、彼女が求めている研究の方向というか、概念についてはよくわかったものの、研究の成果に当たる部分については、いまひとつ印象が薄い気がしていたのですが、あれから6年。
今回のセミナーでは、面白そうなネタがざくざく見えてきている、という印象。ネタが多すぎて、手が追いつかないかも、と思えるような感じ。いいですね〜〜。
そう、6年前は、技術的にもアイディア的にも、彼女の研究はいわば黎明期に当たっていたのだと思います。古典的な植物ウイルス学出身の方なのですが、フィールドサンプリングと次世代シークエンサーを使った網羅的な解析とを組み合わせ、そこから得たものを彼女お得意の分子細胞学的なアプローチに持ち込んで、対象も植物だけでなく、真菌(コウモリの病原体なのだそうです)にまで広がっており。
アプローチを固定して、しかし対象の生物種についてはこだわらず、トピックもあちこち手を出しては面白いと思う方にずんずん進んでいく、こういうの、すごくアメリカっぽい。
こういう、面白そうなものにはじゃんじゃん手を出して、周りはちょっとびっくりするけれど、ご本人は確信に満ちている、と言うタイプの研究者が多いのは、特に日本と対象的なアメリカの特徴だった気が。今回のスピーカーのような、一見節操がない?かのように見えて、しかしご本人にはちゃんと道が見えており、時間がかかっても、そのうち上がってくる成果に周りも納得。。。。って、これぞBlue Oceanに漕ぎ出す冒険。
日本は、多分世界の中でもとりわけ職人気質・磨かれた技術を高く評価する国で、そのせいか、学生の頃からずっと同じ生物の同じ現象、人によっては同じタンパク質を扱って・・・という研究者、多い気がします。このアプローチは、特にそれだけ長い時間、携わる価値があると周りも認める研究対象であるほど、Red Oceanで戦い続けることを意味しますね。
赤青どちらで勝負しても、新しい海をフロンティアとして求めるか、それとも、深く潜って行った先にフロンティアを求めるか、結局はフロンティア探しなわけですが。
ヘテロシグマ研究も、Blue Oceanを目指したもの。そういえば、4年前に、こんな記事を書いたこともありました。今回のセミナーは、これから6年後に、面白いネタざくざく、につなげるためには?と考えるとてもよいきっかけをいただきました。
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