先週のマイクロサバティカルの続きです。
コースの内容とともに、出席者とのやりとりも、来てよかった!!と思った理由の一つ。
今後の進路を真面目に考えている大学2年生に始まり、大学院生が最も多いのは予想通りだったのですが、それ以外にも臨床医・公務員・獣医・元物理学専攻某有名家電メーカー研究員に始まり、某国立研究所室長、とか、某私立大学教授とか、年齢層も二十歳そこそこから50代と広い上に、日本人は半分ぐらいでしょうか。このコース、講義と質疑応答は全て英語で、というコースだったのです。
授業とハンズオン実習の他に、異なる感染病を課題として与えられ、それについてのモデルを作って質問に答え、最後にみんなで発表、という「グループワーク」というのがありました。
このグループメンバーとのやりとりが、楽しいだけでなくしみじみと勉強になり、とっても良かったのです。
どのグループもそのように振り分けられていたのですが、私たちのグループも、感染数理学専攻の大学院生・理論物理学専攻メーカー勤務・保健経済学(というのか?)Associate Professor・米国感染病コントロールセンター(CDC)スタッフ+私(生物学研究者)という、普通の生活ではなかなか同席するチャンスがない取り合わせ。
香港人二人・米国人(でもご両親は日本人、ハワイ出身)・日本人二人、と言う組合わせ。で、話し合い取りまとめを、なんとなくCDCスタッフが取り持ってくれるのですが、話のまとめ方がとにかく上手。
ホワイトボードに話し合いの要点を書き出していくのですが、いかにもハワイアンなちょっとのどかな話し方をしながら、肝にして要を得た箇条書きに、感心してしまいました。CDCの中でも、米国のどこかで、すわ、感染症が流行か?!と言うほんの初期情報を得て、現場に飛んで、その信ぴょう性を確かめながら必要な対策を練り、行動に移す、というのが彼の仕事なのだそうです。そういう事態が起こりがちなのは、米国も大都会ではなく、辺鄙な委任統治領とかなわけで、住民が不安な気持ちになっている場所に入り込んで、情報収集→事態収拾を図るのには、目的をしっかりもって、穏やかに信頼を勝ち得ていくことが不可欠なのだそうで。摩擦は起こすな、押し付けるな、でも、とにかくGoal-orientedに、という訓練を受けるのだそうで。
いわゆる、強力なリーダーシップというのとは真逆のリーダーシップの手際や、間違いなく情報を共有するためのちょっとしたスキルは、すぐに身につくものではないものの、目にできただけでもいろいろ勉強になりました。
元・理論物理専攻さんは、「英語は苦手なんですよ〜〜。数式で書いてくれるからわかるけど、英語だけだったら困ってましたね〜〜」となんでもなくおっしゃるのですが、n次元行列式と微分方程式とプログラミングにやられっぱなしだった私にしてみれば、「・・・それって、この講義がフランス語でもイタリア語でも理解出来ちゃうってことか?!」と、愕然。英語で説明していただいてもわからない数学のいろいろを、日本語で教えていただいて、や〜〜、やっぱりもうちょっと大学教養レベルの数学を勉強しなおしてみよう、と思いました。今更それを勉強してどうなる?!というのはもちろん大切な自問なのですが、興味があることならば、ま、目先の得に結びつかなくてもよし。
また、次に勉強するとすれば、どのプログラミング言語だろう・・・と考えていたところを、実は元・理論物理専攻さんが作成されたPhython速習コースをお持ちだということで、これは、と、受講登録してしまいました。こういう、ちょっとした耳より情報というのが、外を歩いた時に得られる大切な栄養ですよね。
保健経済学Associate Professorは、香港大学で博士号を取る間に、Oxfordに留学しており、その後帰国して中国本土の大学でAssociate Professorの職を得るとともに、現在Harvardで修士を習得するべく勉強中。プラス、日本にもクロスアポイントメントの職があるそうなのですが、、、、見た目30歳ぐらい??
この分野は、どうも、ご本人の数学のセンスでかなりの部分が決まるのか、若くして大きな仕事をする人が多い分野なようです。現在の仕事の話を伺うと、ニコニコ楽しそうなのですが、おっしゃることは野心的・・・いるんだなあ、こんな人。。。。
そして、感染数理学専攻大学院生。彼は、主催者グループに所属する大学院生なのですが、やっぱりこのトピックに対する理解が深く、一人落ちこぼれかけていた私はかなりフォローしてもらいました。よーく考えて、考えていることを『全員にわかるように』言葉に出してならべていくのが印象的。
限られた時間の中での課題解決だったわけですが、CDCスタイルの情報共有術+元・理論物理専攻さんの数学センス+保健経済学Associate Professorのワクチン接種とコスト問題への見解+感染数理学大学院生の、この分野特有の考え方のインプット+それでもなんとなく理屈が通らない点に素朴な疑問提供による議論促進(私です。苦笑)→解決(みんなで。笑)で結構綺麗にまとまった発表になりました。
最後に5人で写真を撮ったりして。ちょっと忘れたくない、貴重な体験でした。
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