2015年4月24日金曜日

春の長雨

 岡山・倉敷っていうのは、例年本当に雨が少ない土地です。
 梅雨も軽いし、台風もよけてくれる。

 でも、なぜか、去年晩秋から今年の春にかけては、実によく降りました。
 今までに無い頻度で、天気予報の傘マークを目にする日々だった気がします。今年は、桜が満開になると同時に雨が降り始め、あっというまに桜が散ってしまい、皆が花見ができなかったとぼやいていました。

 でも、ゴールデンウイークを前にして、そんな長雨もやっと終止符が打たれたようで、今週は、久々の晴れマークが続いています♪中庭の、頑張って咲いた桜に変わって、今度は藤が咲き始めています。

 さて。
 前から気がついていたのですが、ヘテロシグマって、育てる容器によって増殖速度がかなり違います。
 縦長なガラス管で育てると、増殖は一晩で1.2倍。三角フラスコに少しだけ培地を入れて育てると、最高で1.5 倍ぐらい。三角フラスコにも、いろいろなサイズがありますが、大きな三角フラスコに多めに培地を入れると、増殖が悪い。結局、培地体積あたりの水面の面積が広くて、しかも、容器自体のガス交換がうまく行くものが一番増殖速度が早いみたい。
 つまり、光合成と呼吸に必要なガス交換が律速になってしまうということらしい。
 これは、当たり前と云えば当たり前。例えばバクテリア等は、震盪培養をしますよね。ヘテロシグマは、鞭毛をもち、自分で泳ぐことができるので、静置培養でも増殖しますが、それでもガス交換を促進してやった方が効率がいいのでしょう。
 ゆっくり震盪しながら培養するとよさそうですが、残念ながら、気温と照明がきちんとコントロールされている環境下で震盪機を備えた設備というのが手近に無いんです。それに、今までの経験から、容器内での水面でのガス交換に加えて、容器内外のガス交換も結構重要な気が。

 というわけで、試しに強制的に通気することに。変わった形のフラスコを見つけて、これを熱帯魚を飼うときに使うエアポンプにつないで、ぽこぽことバブリング。で、増殖速度を測ると、あら、最高で一晩に2倍近い。ずいぶん順調に育ちます。
 今まで、たとえば100ミリリットルのカルチャーをするには、容量300ミリのフラスコが必要で、しかし、増殖速度が遅かった。でも、この方法ならば、一つのフラスコで350ミリリットルぐらいの培養ができます。培養器の中の面積もとらないし、最高培養密度も結構上がる。
 ささやかなことのようですが、これ、実はこれから始めたい実験にとっても役立つことなのです。これはうれしい!

 というわけで、手始めに、前からココロに秘めていた実験をしてみよう。これ、4時間ごとのサンプリングを48時間ぐらい続けなければならないので、納得できる実験系を思いつくまで逆に手を付けたくなかったのです。 
 日中のサンプリングはHさんにお願いするとして、夕方〜朝は私…寝袋抱えて泊まり込みか?
 うーん、大学院生時代に戻ったような気分。できればGW前に一度おわらせて、休みはゆっくり休みたいと思います(笑。
 

2015年4月17日金曜日

おや!

 建設中の新棟が、急激に完成形に近づいて参りました。

 いつもの定点観測、現在はこんな感じ。

自分は2階にいながら、目の前に3階建てができると、威圧感があります。金属製のグリルがついたりして、今時の建築物っぽいのが、築50年近い鉄筋モルタル作りを見慣れている目には、ほとんど『近未来』チックに見えちゃいます(笑。

 もう一つ変化と云えば、以前塞がれた廊下のどん詰まりが、ドアになったこと。
 ここで、『おお〜〜〜っ!!自動ドアだぁぁ〜〜〜!!!』とココロ密かに盛り上がり、いや、それ、現代日本ではぜんぜん普通ですって。
 ……考えてみたら、いままでこの研究所、自動ドアは一つもなかったのに気がつきました♪

 予定では、4月末には竣工。今は、建物の外部・内部仕上げが同時進行で進んでいるようです。

 という『新棟おやおや』、とは別に、珍しくHさんが風邪でダウン。倉敷は、ここしばらく寒暖の差が激しく、所内見回すと、結構風邪気味な人が多いね、と話していた矢先のことでした。というわけで、彼女に担当してもらっていた実験を、2日だけ私がやってみたのですが、う〜〜ん。これ、仕事量多いなあ!とあらためて認識。この仕事を黙々と毎日こなしてくれているHさんには、今更ながら感謝です。

 たまには、分担交代してみると、いろいろと気がつくことがありますね。大切なことかも、と思いました。


2015年4月10日金曜日

最近のオススメ

 今週は、当所恒例新歓BBQが開催されました!
 ちょっと肌寒かったのが残念ですが、そもそも、この季節に、夕方以降にBBQとは、なかなかツワモノどもの考える技、ですよね。
 14名の新人を迎えて、顔見せ大会。特に学生さんたち、実り多い大学院生活となりますように。
***********   ***********   ************   ***********
さて。先日、思いついてNCBI主宰のBLASTについてのWebinarを受けてみました。

 Webinarって…なんか、ウェブでやる講習会みたいなやつ?というような漠然とした認識しか無かったのですが、Webinar=Web+seminar、つまり、ウェブ経由で受けられるセミナーなわけですね。
 NCBI本部で、NCBIのBLASTシステムの管理・運営をしているチームによる実践的BLAST利用法講習会を、このWebinarで受けられる、というのをつい最近サイトで見て、あら、うけてみよう、ただだし♪と気軽に受講したのですが、これがすごくよかったです。
  BLASTなんて、日常的に使っているし、原理も一応知っているし、今更…と思う人は多いと思うのですが、『え?こんなことができるって知らなかった』と思うようなことが結構織り込んでありました。
 説明の要領のよさにも、感銘を受けてしまった…考えてみれば、NCBIが運営しているWeb-baseのBLASTって、世界で最大&最高のもので、それを管理運営しているチームといったら、その道のプロ中のプロな訳で。そんな人たちの話を自宅でリアルタイムで聞けるってすごい。

 しかも、質問をリアルタイムで受け付けてもらえて、それに対する返事がもらえる。電話して聞くと言う手も用意されているのですが、チャットというオプションがあり、講演している人とは別に、このチャット対応のスタッフが待ち構えていて、端から質問に答えてくれます。日本人にとっては、セミナーの現場にいたって、手を挙げて口頭で質問し解答をもらうのって、結構苦しいですよね。電話だともっと緊張。チャットだと、考えて打ち込めばよいし、答えも文章で残せる形でもらえるし、そういう意味でもすばらしい。

 というわけで、一発で気に入ってしまいました。これ以上望むべくもない超一流の講師陣による、これだけしっかりした内容のセミナーを、真夜中に自宅で、パジャマ着てコーヒー片手に受けられるって!!(米国東海岸で昼12時半開始だったので、日本時間では翌日付午前1時半でした)

 NCBIサイトって、お世話になっているけれど、その割に機能を把握してない部分が多いな、と思っていたので、幾つか受けてちょっと賢くなろう!と思い、いくつも予約を入れてしまいました。Registerはこちらから
 
 本題とはそれますが、目から学習して知っている単語でも発音をしらない、という言葉って結構あると思ます。こういうWebinarをスライド付きで受けると、そういう意味での英語の学習にもなりますね。たとえば、留学が決まったけど、英語大丈夫かな…?という気分の方、高いお金払って駅前留学するより、これを何回か受けて耳をならした方が、ずっと意義深そうな気がします。


  

2015年4月3日金曜日

やっとのことで新年度

 3月半ば以降は、年度締め作業が中心、おまけに去ってゆく人たちを見送って…と、何となく活気がない状態が続いていましたが、4月1日に切り替わると、心機一転です。

 心配していた研究費もいただき、これで、実験に必要な試薬だの消耗品だの、心置きなく注文できるとおもうと、ほっとします。年度末に壊れてしまった機器も、これで修理に出せます♪

 さて。あれもしようこれもやりたい、と、物品カタログを開いたり、試薬の在庫をチェックしたり、共同研究者に連絡をとったり。年度切り替わりとともに、ぱっと目を覚ました感じ。

 今年度も元気にいきましょう!
 と、気分一新するこの時期にあわせるかのように、中庭の桜が、今年も咲いてくれました。

 なんだ、この樹は?とおっしゃらないでください。
 この樹は、実は去年の4月1回目の記事にのせたのと同じ樹なんです。改築工事の邪魔になる、とはいえ、切り倒すのは心が痛む、というわけで、移植したもの。こんなにハゲシイ扱いにも耐えて、花を咲かせてくれたんです。
 花数は、圧倒的に去年よりも少ないけれど、一輪一輪の花が心なしか大きいような。
 がんばったね〜〜!と、声をかけてあげたい気がします。