2016年6月4日土曜日

梅雨はすぐそこ?

 暦の上では、梅雨入り目前のはずですが、今週、倉敷は、本当に爽やかな天候に恵まれました。
 ちょうどこのぐらいの時期、昔の職場@Stony Brookの駐車場に朝、車をつけてドアを開けると、野ばらの香りをいっぱい含む暖かい空気が、まさに「顔を打つ」2、3日があったのですが・・・・急激に上がった気温のせいか、白い小さな野ばら(つまりは雑草ですが)が一気に花開いで香りを撒き散らす時期があるのです・・・気候の具合は、、ちょうどそんな感じ。
 小さなトゲだらけで扱いに困る野ばらですが、あれ、懐かしいです・・・。

 さて。
 3人で当てよう!と目論んでいる予算申請。申請書を書いてはみたのですが、これじゃ通らないわ、もうふた磨きぐらい必要・・・・。というのが今週月曜日。とりあえず、コメントください、と、他のお二人にお送りし、さらに、アイディアの大枠を書いて、ブレインストーミングお願いします、何か気がついたこと・いれた方が良いキーワードなどがありましたら、ポロポロ書き込んで返信してください、と、お願いしてみました。
 この一週間のうちに幾つかのメールが飛び交ったのですが、なるほど、と膝を打つようなアイディアが出てきて、こういう風に建設的にやり取りができる人たちと組めたって、ありがたい。
 
 一方で、蒐集中のヘテロシグマ株。つい数日前、共同研究者からメールがあり、鹿児島の海水が手に入るから送るよ、とのこと。あれ、鹿児島にご出張かな?と思いきや、そうではなく、彼が所属している組織の一部である鹿児島支局がサンプリングに行くという連絡が入ったのだそうで。そうか、自分が大学にいると、直にいつも連絡を取っている相手か、あるいは自分が行くか、しないとサンプルは集まりませんが、全国にネットワークがある組織にいる人は、こういうやり方があるのか。
 
 一人で座っているだけでは、あるいは、所属している研究グループ内でやり取りしているだけではできないことってあるなあ、とあらめて感じました。
 いきなり何の素養もない分野に参入した割には、私たちは外部ネットワークには、本当に恵まれています。感謝。

 そして、ああ、週末から天気が崩れる模様。もうしばらくで、日本の梅雨、突入かな?
 最近、季節が巡るのが、ことに早く感じます。
 
 
 

2016年5月25日水曜日

水温む時

 二週間前に書いた、津々浦々からの泥の話。

 新しいことを始める嬉しさに、宝の山、という表現を使ったわけですが、いやはや。
 送っていただいた泥に、海水を加えて照明付きインキュベーターへいれたのが二週間前。人工海水に泥を懸濁して、それを1-mLずつ48-wellプレートに植えてみました。

 x100程度の倍率で顕微鏡で見ると、うむ、泥、というものの結構な割合は、まるでガラスの破片のように見える鉱物だ、ということはよくわかりました。 その後一週間ぐらいまでは、何か動くものはあれど、小さくて何だかわからないものがうようよしてる....。ときどき、動きが素早い動物プランクトンかな?というものがひゅっ!と視界を横切っていく、ぐらい。

 なんにおもしろそうなもの、生えてこないなあ〜〜。

 などと思っていました。

 しかし、一週間と1日経った朝、顕微鏡を覗いてみると、

 おお!

 まず、目についたのは、円板状の珪藻。
 泳ぎまわるプランクトンも。
 そして、小さくてなんだかわからないものがうようよ・・・は、なんだか大きくなってる。
 そして、この実験の目的である、ヘテロシグマらしきものもいる...!wellごとに、生えてきているものの種類・組み合わせが違うのが面白いところです。

 直径1センチ内外の小さなwellの中で、海底の生物たちが目を覚ました、って感じ。

週末中に育ちすぎて死に絶えては悲しいと、一部をとって、植え継いでおきました。

さらに週末を越して、今週月曜日。植え継いだプレートを朝一番で顕微鏡観察すると、48 wellのかなりの割合、それぞれほぼ1種のプランクトンが優占している.....。

 すごいなあ、これ。まさに、赤潮の実験室での再現って感じ!

まあ、使っている人工海水は、ふつーの海水に栄養塩などをたっぷり加えた組成。理想的すぎる環境なので、再現は言い過ぎ、かもしれません。でも、同じ容器で散々混ぜ合わせて懸濁したはずの泥入り海水、しかも、数日前まで、数種類が共存していたはずが、wellごとにこんなに優占するものが違うって...。いますぐ飛びつくわけにはいかないけれど、これは、今後、興味を持って追ってみたいトピックになりそう。
 
 とりあえず、当面の目的に絞ってヘテロシグマ、と思えども、これほど劇的な変化を目にすると、単純に興奮します。泥とってきて、海水加えて、暖かい明るいところに置いてみました、というと、小学校の夏休みの宿題のようですが、やっぱり自分の手でやってみる、自分の目で見てみるって、大切ですね。

 そして、とりあえず必要に迫られて顕微鏡だけ買ったのですが、こうなると、顕微鏡につけるカメラとビデオが欲し〜〜い.....。お買い物欲も刺激されてしまいます。空き時間にネットでいろいろなカメラをサーチしながら、頭の中でやりくり算段中です。
 
 

 

2016年5月20日金曜日

夏を控えて

  新年度も始まって落ち着きを見せるこの季節、何かと忙しくなってきます。
 去年一昨年とお世話になったゲノム支援の公募、ありがたいことに今年もオープンに。くわえて、財団からの研究費公募もあれこれオープン。夏には、特に海外での学会が入ることが多いわけですが、これの予約だの準備だのも始まるし。実験も、なんだか活発に進んでいる気がしますし。夏に向かって、加速してる感じですね。

 加速の一方で、未だにごちょごちょ続けているperl修行。実は、結構いろんなスクリプトを書いて、私なりに(と限定が必要な程度ですが)馴染んできた感じ。
 未だperl使いというには、やられっぱなしですが、しかし、決まりきった単純作業を機械にわたして瞬く間に処理してもらえる方法を学んだのは、大きい気がします。
 これからしばらく、マニュアルで一つ一つこなしたら発狂するぅ!な単純作業x数百回の必要があるのですが、これの処理スクリプトがかけたので、発狂&手根管症候群罹患の危険は去りました。ああ、よかった。

 もっと早くに学べばよかったと思うけど、やはり、こういうものは必要を痛感して、しかも、その旨味を実感しないと敷居が高いですよね。とりあえず、敷居はまたいだので、もうちょっと遠くまで入り込めるようにと教科書を取り寄せてみたり。なんだかんだいって楽しく習得を続けています。

 の一方で、こういうの、ラボ全体で取り入れようと思ったら、つまり、学生さんに習得してもらおうと思ったら、どうするのがいいのでしょうか?とりあえず、はい、勉強して!とハッパをかけ、何か課題を課す、かな。
 あるいは、発狂しそうな単純作業をあえて少しだけ経験してもらい、はい、スクリプトかけるとこんなに楽チン、と、デモするのが一番効果的だったりして。
 とはいえ、同じ学習するにしろ、何も私が右往左往した通りの入り方をする必要はないなず。
 一歩進んだとして、学習して書いた便利なスクリプトは、数人で共有したい。
 
 今のところはスクリプト書いたり使ったりを自分一人でやっているわけですが、チームの人数が増えることは大切な夢の一部。昔から、人と一緒に働くときの鍵は、いかに必要な情報をパッケージ化して間違いなくやり取りができるか、だと信じているので、複数人数とどうやって情報共有するか、のデザインは、いつも頭にあります。
 実験プロトコールの共有については、こうしよう、と言う形がすでに頭の中にあって、試してみたくて仕方がないのですが、スクリプトの共有は、扱うものの厳密性が高い上に、何を考えて書いたかのポリシーがきちんと伝わってこないと、共有の意味ががたんと減りそうで。

 コメントを日本語できちんと書き込む、が一番でしょうか?入力を切り替えるのが面倒で、英語で書いているのですが、英語だとどうしても簡単なメモ程度になってしまいますし、読むときにちょっと敷居が高いかも。

 夏には、Bioinformatics専門の人たちとしっかり話ができる機会があるのですが、そのときに、彼らのグループではどうしているのか、いろいろ情報収集しようと思います。

 
 
 



2016年5月13日金曜日

宝の山

 モデル生物・培養細胞を使う研究をしていると、みんなが使っている株だの系統だのを使って研究をします。既に確立された系統や株の、出処はまず同じなものが、その研究をしているどこのラボにもある。それをみんなが使って研究している。

 私自身も、モデル生物だの培養細胞だのを使う研究分野出身。全く当然のことのように、ヘテロシグマの研究をはじめたときに、お願いして確立された株をよそから頂いて来ました。
 全5株、これをずっと継代したり、無菌化したりして研究を進めてきたわけです。

 でも、考えてみたら、モデル生物だろうが培養細胞だろうが、系統だの株だのって、最初はどこか自然に存在していたものを『とってきた』わけですよね。

 せっかく自然の中での振る舞いに興味を持ってはじめたヘテロシグマの研究。やっぱり、自分で株を拾うところから始めてみようかという気になりました。

 で、株単離。Single cellを拾うわけです。
 ヘテロシグマはプランクトン、自分で泳ぐ生物。というわけで、100倍程度の倍率の顕微鏡下で姿を追いながら、パスツールピペットの先を細くのばしたもので狙いを定め、泳いでいるところをひゅっと吸い込む。プランクトン屋さんは、よく使う方法なのだそうです。

 ぶきっちょには、ムズカしい・・・。とはいえ、私が出張して習ってきたワザを、口伝のみ(見本なし)でHさんに伝えたところ、Hさんはあっという間に上達。
 ぴゅぴゅぴゅっと、いくつも株を拾ってくれるようになりました。

 このワザは、最近共同研究を始めたNさんから伝授していただいたのですが、Nさんが手配してくださって、現在、文字通り日本の津々浦々から、浅海の泥が送られてきています。

 まだ水が冷たい頃に採取された泥の中には、ヘテロシグマのシスト(休眠胞子)が隠れています。これらを、ヘテロシグマ培養に最適な条件でインキュベートして、うまく休眠から目覚めて増殖ステージに入ったヘテロシグマをまずはどんどん株化しよう、というのが当面の計画。

 そもそも、泥からシスト→ヘテロシグマ、という発想が全くなかったので、驚きでした。

 この研究の大元のアイディアを持ち込んだのは私めなのですが、そもそもの目的を達成するためには、いろんな海域のヘテロシグマが欲しい。でも、そんなこと、できるもんでしょうか??と、及び腰でNさんにご相談したところ、あっというまに研究の方向が定まり、サンプルも考えられないぐらい広範囲から集めていただけることになり・・・・。
 共同研究って、スゴイ、ありがたい!を、ここでもまた痛感しました。
 『アイディア』だけじゃ、何もできませんね。ネットワークって、本当に本当に貴重です。

 続々とNさんのところに届く泥からのヘテロシグマ拾い、半分はNさんが担当してくださり、こっちチームはもう半分を担当、ということに。こっちチームは、拾うところはHさんにお願いして、私は培養作業を分担して、しばらくは数をこなす毎日になりそうです。

 海の泥は、何も知らなければ、ヘドロ?と思うような黒い半流動体。50-mlのファルコンチューブに入れて、天地無用のステッカーがベタベタはってある発泡スチロールの箱を受け取った時には、うふふ、宝の山到着!と大事に大事に開封。今日の午後から、ヘテロシグマに目を覚ましてもらうべく、培地に移す作業に入ります。

 


 

 

 

2016年5月6日金曜日

GWですので

 今週はおやすみさせていただきます。
 みなさま、楽しい休暇をお過ごし下さい♪

と終わらせるつもりだったのですが。

  いまだおずおず、の域を出ないPerlに加えて、苦手のRにも手を出してみたり。
 統計学的データ処理に使うのが王道なのでしょうが、現在私が必要なのは、いわばエクセルでよくやるような、文字列情報を含むデータをソートしたり、値を比べたり、といったところ。
 数十種類の遺伝子の配列について、それぞれBLAST検索をして、それをまとめたものを、今度はターゲット遺伝子ごとに並べ直して、geneIDその他を抽出して・・・・。
 Web-basedのBLASTとエクセルで一つ一つマウスを使ってやったら、手根管症候群まっしぐら or just give up なこの操作、PerlとRでコードを書くと一瞬ですんで、まさに目が点に。

 単調な作業をぶつぶつ言いながら繰り返していた今までの人生はなんだったのだろうか・・・。

 こういう、未だ試行錯誤中、勉強中、なことを、いわゆる勤務時間内にするのって、いくらなんでも気がとがめる。GWのおかげで、のびのびと(?)試行錯誤しています。

 ちょっと、いや、大分おくれたスクリプト書き修行満喫、おかげさまで有意義なGWになりました。
 居室が快適になっていたことに感謝です♪

 

2016年4月29日金曜日

実験生物学と言っても

 引っ越しが、実験室も居室も、それぞれあとひとつずつ「家具」が入れば、完全に定住最終形になるところまできました。
 間取りはあまり変わっていないのですが、内装がきれいになって、毎日仕事する気分が違う・・・。
 引っ越し続きの2年間は、「最後に幸せが待っているのだ!」とむやみやたらと自分に「言い聞かせていた」のですが、本当に終わってみたら、なんと、本当に幸せになった!!のが実は本当に驚きです(笑。

 さて。
 もともと、細胞生物学とでもいうべきテクニックを多く使って研究してきて、今でもそういうアプローチには愛着があります。
 特に、ある一つの因子=大概がタンパク質に着目して、そのタンパク質ともうひとつ別のタンパク質が相互作用することによって、シグナル伝達が起こる、とか、活性制御が起こる、なんていうMechanisticな話が好きだし、いちばんかっこいい!と思うのですが。

 こういう研究って、実は落とし穴に陥りやすい。
 まずは仮説を立てて、それを検証する、というスタイルだからかな、と思います。
 ポスドク時代、ある仮説をたてて、それを検証できそうでできず、できそうでできず・・・・というところにトラップされて、かなり長いこと苦しんだ覚えがあり。
 どうしても「メカニズムもの」が好きだったからそうなったのですが、この手の研究は、最初の仮説が間違っていたら、当然それを証明できない。最初からはっきり違うとわかればまだよいのですが、初期の段階で綺麗に仮説をサポートする結果が出て、それをさらに検証していくうちにわけのわからない結果が出て・・・というのが最悪。←経験ズミ

 これに対して、例えばゲノム生物学的な研究は、ゲノムを読んで配列を得たところでこの配列をつぶさに調べて、ありとあらゆる知見を書き出す、というものが多い。私は、この手の研究の経験が、実はありませんでした。

 で、ただいま、ウイルスゲノムについて、配列解析をしているところです。
 ありがたいのは、とにかく、新しいウイルスのゲノムなので、何かは言える。何を言うか、で、論文のインパクトは全く変わってしまうのはもちろんなのですが、特に、私が読んだウイルスは、ウイルスゲノムとしては大変大型で、持っている因子も大変多い。これを解析するのは大変なれど、でも、かならず何かはいえる、よね、というのは、昔の「細胞生物学の森で道に迷って迷子の気分」、というのを思い出すと、実は結構心強い、ような気もします。

 代わりに、当然ながら、類似のウイルスの配列を集めてきたり、集めてきた配列を加工したり、という作業が入ってきます。私が興味を持っている大型ウイルス、ウイルスですから、例えば細菌ゲノムなどに比べればまだまだ小さいのですが、それにしたって、textファイルで数メガのファイルって、生まれも育ちもWetな人間としては、結構呆然・・・。
 というところで、詰まっていたのですが、そうも言っていられない、ということで、覚えたばかりのPerlをおずおず使いつつ、論文と首っ引きで解析しています。気がつけば世間はGW前ですが、たぶん、どっぷりこれにはまっているうちに過ぎていくのだろうなあ・・。

 実は、引っ越しほぼ終了とともに、居室が恐ろしく快適になったのですが、そのメリットを最大限に生かすGWになりそうです。

 

2016年4月22日金曜日

安全対策

 先週の記事を公開したのちの、熊本の大地震。
 一週間経った今も、かなりの強さの余震が来ているとのこと。とにかく、早い収束と、住民の皆様の安全を心よりお祈りしております。

 その一方で、新しい実験室・居室の地震への備えをもう一度見なおしています。背の高い棚などを、有効な方法を選んで固定してもらう、また、収納の仕方についても、高いところに重いものや、落ちたら割れるものは置かない、化学薬品の保管庫は、破壊されにくそうな場所に、など、とにかく出来ることから対策を練ろうと思います。

 そんな折に、他大から実験技術の習得に学生さんが来てくれて、一週間の予定で一緒に実験しています。楽しい体験で、今後もこういう機会がたくさん欲しいな、と思う一方、例えば、こういうビジター訪問中に何か危険なことが起こったら・・・。

 地震という自然災害もですが、実験をしている最中の人為的事故、というのだって起こり得ます。私自身、一度電子レンジで温めすぎた培地の瓶の蓋が吹っ飛び、沸騰点まで熱された培地一リットルを顔面にもろに浴びた、なんていう事故(というか、ドジ)を経験していますが、経験を積んでいたはずのポスドク時代にやってしまったこの事故、まだ生物学実験に慣れていない学生さんに起こってもおかしくない・・・。

 安全性、ということに関して、かなり疑心暗鬼なスタンスで実験室・居室環境を見回した一週間でした。

 多分、こういう気持ちでいる同業者、たくさんいらっしゃると思います。地震があった週末を終えて月曜日、出入りの業者さんに収納庫固定の相談をしたら、同じ相談を所内の別のメンバー数名から受けたとのことでした。