2018年2月9日金曜日

よりどり悩みどころ

 一昨年終わりぐらいから手を染めている、ヘテロシグマのミトコンドリアゲノムに存在する遺伝子配列の解析。
 すでに論文も発表してきましたが、この遺伝子(MtORFvar)の配列が、ヘテロシグマの出身海域によって結構違う、というのを見出し、それでは、と、あちこちの海域からのヘテロシグマについてこのMtORFvar配列を読んでみたところ、例えば高緯度地方と低緯度地方のヘテロシグマの配列がかなりくっきりと違うことがわかりました。
 また、どうも、大西洋出身の株と、太平洋出身の株でも結構違う。
 この配列は遺伝子として機能している、つまり、この遺伝子が設計図として働いて、最終的には機能するたんぱく質を作る、と考えているわけで、つまり、あっちとこっちのヘテロシグマでは、異なる特徴を持つMtORvarタンパク質を持っている、となると、このタンパク質は、ひょっとしたら生息水域の環境に適応するために何か重要な役割を果たしていたりして、などと夢想したりするわけです。

 色々夢は膨らむ一方で、より確信を持つためにも、もっと多くの地方からヘテロシグマを取得して、それらについてMtORFvar配列を読んでみようとしているのですが。変異が入りやすい配列というだけあってか、同じ塩基がずらずらと続いているところが多い.....AAAAAA, TTTTTT, ATATATなどなど.....。これって、遺伝子配列をPCR増幅するときに変異が入りやすいし、またサンガー法で配列を読むときにも間違いが多かったり、長く読めなかったりしやすいし。
 わくわく読んでみる割に、トラブル多し。
 
 じつは、学位とってから今まで、これだけの数の多分変異が入りやすい遺伝子をPCRで増幅して、しかも確実に間違えなく読みたい、と言う仕事ってしたことがなかったような。PCRにつかうポリメラーゼだって、一種類に決めてずっとそれを使ってきました。安いときにまとめ買いしてみたり。
 でも、どうもこの実験していると、そういう風にstraight forwardに行かない。。。。。とりあえず、手をつけやすいところからと、PCRにつかうポリメラーゼのFidelityが高そうなものを試してみることに。
 この予算の苦しいときに(笑)、色々買ってみて、少しずつ設定も変えて。。。。というのを繰り返しています。
 この酵素が良いのかな、というのがわかる一方で、いや、どうも、これは読み間違いと思っていたのが正しいのかも。。。。。実はとっても面白い発見をしているのか、それとも単なるartifactで読み間違いに過ぎないのか、これを確かめるのは至難の技ながら、いや、やはり興味があるのです。
 酵素の数だけコンディションがある、どころか、反応プログラムののちょっとした違いでも結構違いが出てしまうPCRだけに、条件はより取り見取り。これ!と言えるものに出会うまでに、というより、何を持ってこれ!といえるのか、というところから、悩んでいるところです。ううむむむ。。。。。。

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