2017年12月22日金曜日

2017年仕事じまい

 この記事は、2017年最後の記事になりそうですね。
 倉敷は、寒い寒い日が続いています。

 先週・今週は、ラボ内の片付け・・・・というよりは、働きやすくするための模様替えを試みました。
 以前から、今は実験台に並べてある静置してあるブロックインキュベーターだの、サーマルサイクラーだのを棚に集めて、もう少し実験台を広々使えるようにしたいなあ。。。。と思っていたのですが、勢いがつかず。
 折は年末=大掃除シーズン、寒さに縮こまっているのにも嫌気がさしたことですし、数日かけてラボ改造を一気に終わらせよう!というわけで、まずは掃除、特にプラスチック消耗品が入った大型ダンボール箱の整理だの、ちょっとした実験器具を使う際の動線の検討だの、パズルを解くような気分でメジャーとメモ用紙をもって歩き回り、プランは結構良い形にまとまった気がします。
 必要な棚を購入したり、地方国立大学必殺技=ごみ捨て場から拾ってきたカラーボックスで済ませていた収納を、お手頃価格の新品に換えたり。仕上がりは、年をまたいでしまいそうですが、これで、すっきり広くベンチが使えるラボに生まれ変わる・・・・ハズ。落ち着いて、心地よく仕事ができる年を迎えたいものです。

 さて。
 私自身、2011年に着任したので、つまり、ヘテロシグマ研究をはじめて現在7年目になります。
 世界中の民話の中で、7年目って、なぜか「特別な年」とされていることが多いように思うのですが、確かに最近、3年目とも、5年目とも違う、『7年目』という時期の意味をじんわり噛み締めたりしています。空のラボを思うように立ち上げるというチャンスをいただき、研究の方向を定めて予算獲得して、いろいろと助けてくださる共同研究者との仕事も増えてきて、、、、はっと気がついたらちょうど螺旋階段を一巡して、7年前の自分を見下ろしているような気分。上を見て、じりじり業を煮やしたり、ため息をついたりしていた時期もあったけれど、ふと気がついたら、あら、いつの間にか高度を稼いでいたんだわ、というのは、ちょっとうれしい驚きだったりします。

 というわけで、毎年恒例『私たちの今年の一文字』は、7年分まとめて「昇」にしちゃう!しちゃいます‼︎

 本年も一年、お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
 みなさま、どうぞ良いお年をお迎えください。
 今年一年見守ってくださった皆様と、来年も良い一年にできますように。いえ、是非是非致しましょう。
 来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

 

 

 
 
 
 
 

2017年12月15日金曜日

1年後

 いま、うちのラボには、20系統ぐらいの、世界各地から集めたヘテロシグマがいます。
 去年、あちこちの国の藻類保存センターにお願いして、送っていただいたもの達。かれらのミトコンドリアゲノムの配列を解析し、結果として2本の論文を発表しました。
 
 この2本、ミトコンドリアゲノム上の地域特異的な配列=MtORFvarを見出しました、という論文だったわけですが、それならば、世界各地のヘテロシグマ集団がどんなMtORFvarを持っているか、を多地点で比較することを皮切りにして、ヘテロシグマという種がどんな経路で現在の分布に至ったかが解きあかせたりして、と考えています。
 
 言ってみれば『種の遍歴』を解き明かすプロジェクト、なわけで、アイディアはなかなか壮大。世界中あちこちからヘテロシグマ株をまとまった数手に入れて、その配列を解析して。。。。の積み重ね。うまくいくかどうかわかりませんし、何より手間と時間はタップリかかります。とはいえ、今のアプローチを取る以上、涙が出るほど研究費がかかる、というわけでもなさそう。手間暇かけてそれほど大きくない予算で、じっくりと何年もの時間をかけて大きな絵を描くことを目指す、というのは、大学で、基礎研究に携わる立場だからこそ、研究してみたい・研究できるタイプのトピックです。

 一方で、当然ながら、これをするには『世界中のあちこち』からヘテロシグマ入手の必要が。さっと行って海水を汲んでくる、というわけには行かず、あちこちの海洋藻類研究者との共同研究が不可欠。
 ありがたいことに、ここ1年で、チリとブラジルに、信頼できる共同研究者たちを確保した感があります。日本人で、南米と太いパイプを持っている人って、実は結構少ないことからも、これはなかなか幸せなことです。

 ついでに、もう少し別の地域とも手を組んでみたい!なんて思い、先週の会議で講演をしてくださった先生にご相談したところ、来年開かれる国際学会で、ある方を紹介してあげようか?というお言葉をいただき、わあっ!と一気に盛り上がったのですが。できれば早く始めたい研究ではあるし、まずは、直接連絡を取ってみて、お話がつながらなければお願いします、ということで、まず直接コンタクト。夕方メールを書いて帰宅し、自宅でメールチェックすると、お返事が入ってる!株供与についてご快諾をいただき、直接やりとりする若手研究者にCCが入っていました。

 喜んで、ご両人にお返事。今後、こんなことをやりたいので、手始めにこのぐらいから始めて、よかったらまた相談に乗って欲しい。。。とメールをしたところ、ボスのほうから「喜んで。もし将来、もっと話が発展することになって、また、こちらも労力を割くことになった場合には、株供与というより共同研究、あるいは共著という形でお願いできればと思います。」という趣旨の、極めてフレンドリーな表現のメールが。
 自分のチームの若い研究者に労力を割くことを求めるわけで、相手に対して、その人の労力に見合ったいわば「見返り」を求め、さらにその人と仕事の意義を共有するのは、ボスの役目。これを、最初の段階で、さらっとフレンドリーな表現のメールで、というスマートさ、ぜひ真似させていただこうと思います。もちろん、外からのアプローチにオープンマインドなところも。
 実は、このボスは、この分野では知らぬもののない、大きな機関の部局責任者でもある、お忙しい方。こういう方に、直接メールで問い合わせて、こんな風にささっと軽やかに話が進む、というのは、、、、これは、お相手のご性格はもちろん、実にこの職業@非営利機関ならでは。仕事の目標が、「お金を得ること」だと、利権についてのあれこれが邪魔をして、「あらおもしろそう、ちょっと一緒にやってみよう」とはいきません、よね。こういう風にコンタクトをとって、新しい仕事の目処をつける時って、いつもそこに思いがもどり、幸せな仕事に就けたものだと、本当にありがたい気分になります。
 
 

2017年12月8日金曜日

師走です!

 また、前にも使ったことがあるタイトルですね。

 そう、師走です。今年もあと1月切りました!
 思い起こすと、とてもたくさんのことがあった一年でした。早かったのは事実なのですが、あまりにいろんなことが・・・・・・いろいろな『良いこと』が・・・・・起こった一年で、今年の1月1日のことが霞んで思い出せません。たった11ヶ月ちょっとしか経っていないのに、遠い遠い道を来たような気分でもあります。
 素晴らしい一年でした!と締めくくれるように、あと20日ちょっとを過ごそうと思います。

 今週は、瀬戸内水研主催で開かれた「赤潮・貝毒部会」で聴講してまいりました。研究発表を聞いて、へえ、そんな便利で手軽なモニタリング方法があるんだ。。。。というところから「!それ、実験室で使ったりして!」などとアイディアが浮かんだり、やはりこうやって情報を仕入れるのは重要です。

 さらに、日本の赤潮研究の第一人者I先生が、来年ひとまずは退官を迎えられることもあり、I先生のこれまでのご研究についてのご講演をいただきました。
 I先生の一つ一つの研究実績が、今は赤潮研究に携わる者にとっては「教科書」となっている専門書のうちかなりの部分を占めるわけですが、お若い頃から進めていらした研究のほんの一部分を、ユーモアに包んでわかりやすくお話しくださり、勉強になるとともに、もっと本腰を入れてヘテロシグマ生理のあれこれを攻めなければ!と思いました。

 あれとかこれとか、やってみなきゃね、面白そうだよね、あんなアプローチで、、、という漠然とした興味とアイディアで止まっているものの数々。ちゃんとリストアップして、木既存の情報もしっかり整理して、勉強しかけて止まっているアレは一旦ちゃんと終えて、、、なんて言っているうちに、あっという間に年末を迎えそうです。